散歩(さんぽ)
「ごちそうさまでした!」
両手を合わせ、食後の礼をするメル。
「気に入ってくれて良かった。ところで、メル」
「はい」
「歌は見つかったかな?」
メル・アイヴィーがここに来てから半年。
男は、毎朝この質問をしていた。
「いえ、まだ……」
そしてメルは、今の自分の状況をそのまま答えた。
「そうか。なら」
男はメルの答えを受け取ると、脳裏に浮かんだ事をそのまま告げる。
「散歩でもしようか。メル」
「はい!」
男からの言葉を受け取ったメルは、すぐに支度を始めた。
*
「凄い……!」
久方ぶりに、いや地球に来てから、初めて雪に触れたメル。
その姿は、
その姿を、男は黙って見守っていた。
彼女の好奇心が尽きるまで、ただただ触れ合わせてやろうと思ったのだ。
「あ」
と、メルの声が響く。
「どうしたんだい?」
男が尋ねた。
しかし男の表情は、確信を
「歌が、見つかりました!」
「そうか!」
メルの嬉しげな返答に、男はしたりと言った様子で返した。
「では、君の歌を聞かせてほしい!」
男が叫ぶと、メルは「喜んで!」と言い、男の前へと立った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます