紡ぐ、たった一人への歌

有原ハリアー

除幕(じょまく)

 メル・アイヴィーは泣いていた。

 自らを姫のように慕い、友のように歩んできた恋人が傷だらけになり、血を流しながら、それでも愛をささやいて、目を閉じたからだ。

 そしてメルが涙を流す度に、首に着けていたチョーカーの宝石が光を放った。


 何度揺すぶろうと、二度とは目覚めない。

 二人、優しい雨に打たれながら……。


 やがて雨は、雪へと変わっていった。

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