14.セカンドエボリューション・スライム

 ――ぷるるるるるるる…………ぽるーんっ!


 >ぱららっぱっぱぱーん♪

 >スライム は シャドウスライム にしんかした!

 >スキル かげわたり をおぼえた!


 おおっ、上手いこと進化できたぞ!


『わーい、進化したよー! ねぇねぇ、ボクどんなのになった?!』


 どう? どう?

 新しいボク、カッコ良いかなっ!


「……?」


「おい、アレって何か変わってんのか?」


「わかんない……」


「よく見れば何かが違う……と、思うんだけどなぁ……?」


 ええっ?! 誰も差がわかんないレベルなの?!

 もしかして進化した気がしただけで、ホントは進化できてなかったり?!


 こ、こうなったら鑑定士リーリオを呼ぶしか……!


「少し色が濃くなったな。あと体表にもやのようなものが出ている」


『えっ! アイン、ほんと?!』


 さすがボクのストーカー第二号、しっかり見てるね!


「おお、言われてみればそんな感じがするな」


「びっみょーだなぁ、オイ……」


「で、でも進化したのは確かなんだよね? 良かったじゃない!」


「ニイム……おめでとう!」


『ありがと~♪』


 あ~良かった、ちゃんと進化できてたぁ!


 っていうかモヤって何?

 ボクってば何を発生させてるの?


 やっぱりリーリオに聞いておこうかな……。


『リーリオ~、ボクって何になった~? このモヤってるの、大丈夫なやつ?』


『おめでとーございまーす!』


 ――パパパァーンッ!


 今度はクラッカーですか……。

 しかもバズーカみたいなでっかいやつ!

 さすがに用意が良いねぇ、ホント。


『今度はシャドウスライムですね。もやに見えるのは影のゆらぎ。実体は無く、もちろん害もありませんのでご安心を』


『なるほど、これって影だったのかぁ……』


『進化によって新しいスキルも獲得していますよ。「影渡り」といって、影から影へ移動できるスキルです。ただし、移動先は近くの影かあらかじめ登録しておいた影のみで、移動対象は自分一人です』


『おおー! すっごく便利そう!』


 近くの影に移動するのは戦う時に使えそうだ。

 背後の影からシュシュッと出てきて攻撃を仕掛けるボク……。

 むふふふ、アサシンみたいだ! カッコイイ!


 あと、記憶しておいたら遠くの影にも行けるんだよね。

 冒険帰りとか楽そうだけど……ボク一人で帰ってもなぁ。

 まぁ、緊急の時なんかには役に立つか!


 これって、かなり希望通りの進化ができたんじゃない?!

 みんなの影を登録しておけばいつでも側に行けるもんね!

 しかも強くなってカッコ良くなって……。


 ……って、肝心の『記憶』がまだだー!!


 アインのことや前のボクが考えてたこと、全然思い出せてない!

 一番大事なとこがダメだったよー!

 

 い、いや、今からでも思い出せるかも?!

 進化の余韻よいんがある内に……頑張れボクっ!


 うーん、うーん、うーん……!



 ……あっ……思い出せそう、かも……?

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