9.トドメのスライム
『シーロー、クリス―! ボクもやるよ~!』
「お、坊主の治療は終わったのか」
「よし、三人で囲むぞ! 一気に畳みかけろ!」
『オッケー!』
足元が
全力一斉攻撃だーっ!
――ごぼいんっごぼいんっ!
よしよし、効いてるぞーっ!
「もう一回いくわ! 皆、下がって!」
セシリアの魔法だ! 急いで退避~!
――ぽいんぽいんっ!
ボク達がミノタウロスから距離を取ると、さっきと同じようにパチパチと音が鳴り出した。
「
――ズガガンッ!
「ヴモオォー!」
あ、ちょっと外れた……。
ミノタウロスの真横から稲妻が走ったけど、一応ちゃんとダメージは与えられてるみたいだね。
「オイ! サンダーボルトを外すとかアホかオメーはッ!」
「わ~ん、ゴメン~!」
「でももう少しだ! 行くぞ、シーロ、ニイム!」
『うん!』
いかにも瀕死という
「ハアッ! せいッ!」
「いい加減くたばりやがれッ!」
『これで……トドメだ~!!』
――ごぼいんっごぼいんっごぼいんっ!
「ブモッ、グモォォォオオオオオオ?!」
苦痛の声を上げ、
確実に仕留めるため、シーロが首を一閃した。
「これで……トドメだ」
――ザシュッ
事切れたミノタウロスは、その巨体を床に広げた。
シーロ、それさっきボクが言っ……いや、そんなことよりも!
「よし、勝ったぞ! 皆、お疲れ様!」
「おう」
「きゃ~、すごい! 私達だけで倒せちゃった~!」
『やったね~! わーいわーい!』
――ぽいーん♪ ぽいーん♪
クリス達三人はそれぞれの体を叩きつつ、じゃれ合ってる。
中ボスとはいえ初の大物撃破で、ものすっごく嬉しそうだ!
よし、ボクもフェリちゃんにナデナデしてもらうんだーい!
『フェ~リ~、倒したよ~! 褒めて褒めて~!』
――ぽいんぽいん、ぽいーんっ!
「わわっ……うん、ニイムは……スゴイね……」
駆け寄ってフェリに飛び込んでみたけど……あれ、フェリってば元気が無い?
みんなは大喜びしてるのに、フェリはあんまり嬉しそうじゃないや。
『あっ、まだケガが痛かった?』
「う、ううん、そうじゃ……ないよ。ケガは、大丈夫……」
『でも元気……無いよね? どうしたの?』
「ん……」
フェリは続きを言おうか迷ってるみたいだったけど、ボクがじっと待っていたら口を開いてくれた。
「ぼく……また、役に立てなかったから……」
また? またって何だろう。
『フェリはいつも頑張ってるし、いつも役に立ってるよ?」
「でも……ちゃんと、戦えなかった……」
うーん、今回はケガしちゃったからなぁ。
そういうのは誰にでもあることだと思うんだけど……。
『また次に巻き返したら良いよ! フェリは剣の腕がメキメキ伸びてきてるし、すぐ強くなれると思う。そのうちズババーンってやっつけられるようになるって! ねっ!』
実際、フェリはぐんぐん成長中だもんね!
そのうち、テイマーじゃなくて戦士系のクラスに就いちゃうんじゃないのかなってぐらい。
でも、フェリの顔は浮かないままだ。
「でも、ぼくもみんなを、守りたい……守られてばっかりは、イヤなの……」
そっかぁ……。
フェリは前に、クリスに
クリスはその時の傷で死にそうにもなった。
だからきっと、守るってことをすごく大事にしてるんだ……。
「それでさっきの無茶か」
うわっ、ビックリした!
いつの間にかアインが側に来てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます