28.秘技・スライムイヤー!

「ぼ、ぼく、テイマー見習いで……荷物持ちポーター希望なんです! あの、雇って……もらえませんか?!」


 おおっ、フェリちゃんいったー!

 初球、目一杯のストレートだ!


「雇うって……えっと、ちょっと待って。君、いくつだい?」


「8才、です」


 そう、フェリちゃんはまだ8歳で……えっ? フェリって8歳だったの?!

 今明かされる衝撃の事実!


 というか冒険者登録の時に話してたはずなんだけど、全然聞いてなかったや!

 てっきり11、12歳ぐらいだと思ってた……。

 というか、8歳なのに随分と大きいねぇ。亜人の子って、成長が早いのかな?


「えっ、8歳?! も、もうちょっと上かと思ったけど……と、とにかく、まだ未成年だよね?」


「はい……」


「家族は? もしくは、君を保護して……育ててくれてる人は、ここに居ないのかな?」


「いません……。ぼくには、ニイムだけ……です」


「そ、そうか……」


 そうそう、そうなんです……可哀相なフェリちゃんなんですよぉ~!


 って、驚くほど思惑にハマってくれちゃうお兄さんだなぁ。

 ちょっと良心が痛むよぅ……。


 ……いや、ここで引いたら明日は無いっ!

 頑張れフェリ! 負けるなボク!


「おいおいクリス、ちょっと待てって」


「な、何だよ」


 口の悪いお兄さんが、人の良いお兄さんを引っ張りこんでヒソヒソと耳打ちをしだした。

 でもスライムイヤーは聞き逃さないよ!(耳無いけど)


「オメェ、もしかして雇ってやるつもりじゃねえだろうな」


「良いじゃないか、まだ8歳なのに可哀相だろ……」


「相手は亜人だぞ? オレらがそういうのを気にしなくても、周りは気にする奴もいんだろ。そういうのでオレらが被害にあったらどうする。リーダーなんだから、そういうこともきちっと考えろよ」


「それは……確かにリーダーとしての責任もあるかもしれないけど、俺はそういう差別はしたくないよ。それに、こんな子供が一人きりじゃ生きていけないだろ」


「バァッカ、孤児で食うに困ってるやつなんざいくらでもいるっつーの! 片っ端から同情して回る気か!」


「うぐっ……そ、それは……」


 あぁ……人の良いお兄さんの形勢不利だね。

 口の悪いお兄さんの言い分が正論だから、ボクも言い返せないよぉ……。


「シーロってば、そんなにカッカしなくてもいいじゃない! それに私たち、今からメンバー募集しようとしてたんだから、丁度良いわよ」


 なんと、お姉さんが援護に回ってくれた!

 よし、頑張れお姉さん! 人の良いお兄さんじゃ勝てそうにない!


「セシリア、お前の頭にはオガクズでも詰まってんのか。オレたちが募集しようとしてたのは、ポーターなんかじゃなくて即戦力だろうが」


「そりゃ戦力が増やせたら言うことないけどさぁ……私たちのパーティーに来てくれる即戦力の人なんて、いると思う? この予算で」


「それは……」

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