11.ボーイズ・ミーツ・スライム

 ――ぽいんっ、ぽいんっ、ぽいんっ♪


 いや~順調順調♪

 あれからいくつか宝箱も見つかったし、スライム以外も倒せるようになったし!

 まだラットやワームぐらいだけどね。

 でもようやくお肉(?)にもありつけて満足だよ~。


 正直、ワームはちょっと抵抗感あったけどネ……。

 吸収と思えば何てことないんだろうけど、どうしても食べる・・・って感覚が強くて……。

 ま、それを言っちゃあ「生のネズミ肉はいいんか?!」ってなるよね、そうだよね。

 ってなわけで、とにかく倒したヤツは食べることにしたのです。


 ボク、もう随分と強くなったんじゃないかなぁ?

 色々食べてるし、スライム意外も倒せるし。

 そろそろ次のスキルか……いっそ進化とかしたいねー!

 どんなスライムに進化するのかなぁ、ワクワク♪


 お、考え事してるうちに宝箱もう一つはっけーん!


 ――ぱかっ!


 >ちゃららーん♪

 >スライム は やくそう? をてにいれた!


 むむ、また薬草(?)か~。

 今はさっき見つけたやつを消化してるところだし、とりあえず頭の上に乗っけておこうっと。


 そういえば、いつも何の疑問も持たずに薬草かと思って食べてるけど、毒草だったりしないよね……?

 見分け方なんてわかんないし、何でもかんでも食べてたらそのうち当たっちゃうかも……。


 ま、ネズミや虫を生で食べてる時点で手遅れか!

 うん、考えてもしょーがない、しょーがない!


「~~~、~~!」


 およ? 人の声……かな?

 このダンジョンで初めての人だぁ!

 どうしよう、すぐに逃げるべきか、様子を伺うべきか……。

 スライム的には一目散で逃げる方がいいんだろうけどねぇ。

 しかし! なんたってボクは考えるスライム!

 知的好奇心が勝っちゃうのさ~。


 というわけで足音を立てないように、のぞき見、のぞき見……。


 ――ぽにょにょにょ……


「ええ~、どうしよう! もう薬切れちゃったよ~」


「なにぃ! なんでもっと持って来なかったんだよ!」


「だって買うお金が無いんだもん! 他にも買う物いっぱいあったし……」


「どぉ~せ、またしょうもないモンに目移りして無駄遣いしたんだろ!」


「そんなことないよ、ちゃんと冒険に必要な物をちゃんと考えて……!」


「まぁまぁ、二人とも落ち着いて」


 ふむ。どうやら駆け出しの冒険者三人組って感じかな?

 それにしても、この階で四苦八苦する腕前じゃあ……冒険者としてはこの先厳しそうだなぁ。


 ボク? ボクはいいんだよ。

 だってスライムだもん!

 スタートがスライムか人間かじゃ、雲泥の差だよ!


「とりあえず一旦町に戻ろう。セシリア、応急手当だけでもしてやって」


「うん……シーロ、腕出して」


「しゃあねえな、失敗すんなよー」


 女の人がセシリア、口の悪い男の人はシーロって言うみたい。

 もう一人の男の人は何て言うのかな~、もっとよく見えないかな~。


「――ッ、クリス! 後ろ!」


「?!」


「きゃあっ、スライム!」


 あっ、見つかっちゃった?!

 やばいやばい、戦う気マンマンだ! 潰されちゃうよー!!


 えいっ、えいっ!

 ボ・ク・は・い・い・ス・ラ・イ・ム・だ・よ!


 ――ぷよぷよ、ぷよよよんっ


「何だ……あの動きは」


「スライムがいっちょ前に威嚇いかくしてんのか?」


「は、早く倒しちゃった方がいいんじゃ……」


 うわーん、ダメだ~全然伝わってない!

 そうだよね、こんなので誤魔化されるのはリーリオぐらいだよね!

 こうなったら逃げるしかないか!


「ん……? ちょっと待て。あのスライムの上、よく見てみろ」


「え?」

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