8.腹減りスライム
ボクは再び、一人でダンジョンの中を歩き回った。
一匹になっているスライムを見つけてはケンカを売って仕留め、ケンカを売っては仕留め……。
そういえば、取得スキルってどうやたら分かるんだろ。
レベルが上がった時は何となくわかったから、スキルも何となく分かるんだろうか?
でもそれじゃあ取得したことは分かっても、スキルの内容がわかんないよね……。
ま、いっか。
もし分かんなかったら、リーリオに聞こうっと。
ストーカー代だと思えば、ばんばん呼び出しても気が引けないよね!
――ぼいん、ぼいん、ぼよーん……ぼるるんっ
――ぼんぼいん、ぼよよん……ぼるるんっ
よしよし、スライム狩りは順調だ!
なんだかボクの攻撃にも重さが出てきたような気がする。
心なしか、前とは音が違うような……そんな気がするよ!
もしかして、新しいスキルは「チャージタックル」とかかなぁ。
これだけ体当たりを極めてたら、そういうこともあるかもねっ♪
……なーんて、
いや、狩りは順調なのよ?
でもね、一向にスキルが閃かない。
スキルがもうすぐだっていうのはウソだったの?
それにしても……なんかお腹まで減ってきた気がする。
今までお腹なんか減らなかったのに。
いや、全く減らないのもどうなんだって感じなんだけどさ。
……目の前のスライムの
…………ハッ!
だめだだめだ!
倒すだけならまだしも、食べるのはアウトでしょ?!
なんかよくわからないけど、倫理観とか、そういうの的にさぁ…!
……ちょっと舐めるぐらいなら、良くない?
………………。
……う~~~~!
『助けてリーリオッ!』
『どうしましたかニイムさんッ貴方に
瞬時にウインドウが開いた上に、すごいこと言ってる。
『違うよぉ~敵は
『……食欲?』
『なんかスライムが美味しそうに見えてきてさぁ……ボク、誘惑に負けそう……』
『食べても美味しくはないらしいですが……食べたいのなら食べてしまえばいいのでは?』
『でもさ? さすがに同族を食べるのはちょっと、なんていうか……カニバリズム? みたいで? 気がひけるよぉ~』
『そうなのですか……』
中身は人間と言いつつも、やっぱりボクはスライムだからねぇ。
できるだけ食べないでいたいところです……。
『それにしても、おかしいですね。スライムは原始的なモンスターですから、空気中の魔力を摂取するだけで十分活動できますし、空腹も感じないはずですが……』
『そういえばそんな生き物だったね、スライムって。うーん、ボクがやたら動き回ったせいとか?』
『いえ、戦闘行為自体は頻繁に行っても大丈夫なはずです。そういった個体もいますから』
言われてみれば、スライム狩り中に向こうから襲ってきたヤツもいたなー。
『えーじゃあ何だろう……人間の感覚が残ってるのかなぁ』
『人間の……? あっ、分かりました!』
『おっ、なになに?』
『道理でニイムさん、スキルを取得されてもお使いにならないな~と思っていたんですよ』
『空腹とスキルに何の関係が…………えっ?! ボクもうスキル取れてたの?!』
『はい』
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