第2085話 またこの季節が
来ましたね。
この季節が。
おっ、人間ドックか、って?
違います。
えっ、宇部さん、今年のドック報告は? もしかして今年行ってないの? って思われたかもしれませんが、ご安心ください、ちゃんと行きました。行きましたとも。
ですが、聞いてください、皆さん。宇部さんだってもう立派な大人。アラフォー2児の母なのです。人間ドックだって、たぶんもう5年とかそれくらい受けてます。さすがにもう何のトラブルもありません。ガチのマジで何もありませんでした。ハーつまらん。
とりあえず、毎回褒められる血圧は今回も褒められましたし、直前の検診で引っかかった貧血も、鉄剤を処方されたことにより改善。服薬中ということで完全にお酒を飲まない生活を送っておりますので肝臓もばっちり。多少血糖値が気になる感じではありましたが、全然許容範囲とのこと。
いまわかる範囲では、「いい感じです」ということでした。詳しい結果は今月中に来る予定。
というわけで、何のアレもなく終わってしまった人間ドックではないのです。じゃあ何か。
年末調整ですよ。
皆さん、やってます?
いまだによくわからないやつ、年末調整です。
いや、わかってはいるのです。多く払いすぎた分が返ってくるとか、そういうやつでしょ。わからないのは記入方法というか、単語の意味とか。もちろんいちいち突っ込んだりはしません。もう機械的に記入するのみ。
これでも宇部さんは前職で事務をしていたのです。中学生に勉強を教える部署の事務も少しの間やっていたのです。なので、この時期になりますと、社員に書類を配ったり、記入方法を説明したりしていたのです。この私が。この! 私が!!
でも、人間、簡単に忘れますから。
事務から離れたらもうすぐ忘れますから。忘れなかったのは、「年末調整って大事なんだよ。期日までに出さないと経理課の方々に多大なる迷惑がかかるんだよ」っていう、そこだけ。松清家では昔から、
「人を待たせてる仕事は先にやれ」
と言われて来ました。
まぁ、大抵の仕事は誰かが待っているものだとは思うんですけど。要は、明確な締め切りがあって、この日までにやれば良い、っていうやつではなくて、「これ、早めにお願いね」とか「ちょっと手を貸して貰える?」 とかそういうやつは率先してやれ、ってことらしいです。松清ママンとパパンが言いたいのは。特にパパンの方は会社のお偉いさんでしたし、部下に慕われるタイプの人でしたので、そんな人が言うのですからそうなのでしょう。いまの職場でも、もちろん自分の仕事の締め切りは守りますけど、なるべく人からの依頼を先にするようにしています。いつか報われてくれ。
そういうわけですので、この手の書類も早め早めに終わらせて提出したい私です。
なのですが。
ここ数年は厄介な書類が増えたのです。
それが、住宅ローンの控除のやつ。
保険のやつならもう全然慣れたものでした。一人で出来ます。書くのも計算も面倒ではありますが、もう全然出来ます。ゆっくり時間をかければ出来ます。
ですが、この住宅ローンのやつは毎回ちんぷんかんぷん。何せ桁がとんでもない。一生の間にこんな桁の数字なんてもう書くことないですよ。なので、毎回旦那に泣きつきます。共同名義なので、それぞれ書かないといけないのです。というわけで今年も「年末調整の書類、この日までに提出したいので、あの、例のアレ、今年もお願いします」と依頼。任せろ! と力強い返答です。
そして、数日経ち、夜、時間が取れそうだというタイミングで。
宇部「良夫さん、今夜やろう」
一見いかがわしい系のお誘いのように見えますが、違います。年末調整です。いや、夫婦なんだからいかがわしくはないか。大丈夫、「えっ、松清子ったら大胆……!」なんてことにはなりません。最早『アレ』すらなくても伝わるのです。
旦那「任せろ、五分で終わらせてやる」
最高に痺れるセリフです。
朝イチでこんな痺れるセリフ。
爽やかな朝にトゥンクが止まりません。
いや無理でしょ。
さすがに五分は無理。
さすがにそれは年末調整を舐めすぎ。
そう思っていたのですが。
彼はその夕方、夕飯を作っている私の元へ、何やら書類をヒラつかせながら近づいてきました。
旦那「ふっふっふ……。俺の方はもう書いた。松清子はこれを写すだけだ! これなら五分で終わる!」
宇部「よ、良夫さん――――――!!」
有言実行の男。
あとは私が書き間違えたりしなければ! マジで五分で終わる!
今回の目標は「訂正は二箇所まで」だ!
※一箇所のみで何とかなりました
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