第1826話 ~んこ
違います。
違うんですって。
話を聞いてください。
一旦タイトルから目を逸らしていただいて、ええ。
ただまぁごめんなさいね、これから少々お下品な内容になりますんで、てめぇ宇部ふざけんなよ、違わねぇだろ、爽やかな朝を返せ! って思われる方もいるかもしれません。先に謝っておきます。申し訳ございませんでした。
謝ったので、続きを書きます。
ある日のことです。
職場での話なんですけど、12時で上がる人が、「良かったら食べて」と、その時間から休憩の私と○○さん(先輩)に個包装のおせんべいをくれたのです。わかりますかね、『ぱりんこ』っていう、サラダ味(だったと思う)の小さめのおせんべいです。ワー懐かしい。なんて思ってね。別に懐かしいようなお菓子ではないんですけど、なかなかおせんべいって自分では買わないものですから。で、じゃあご飯を食べたらいただこうかしら、なんて思って、その個包装の袋をひっくり返したんですよ。
そしたら、袋に色々書いてあるんですよ。よくあるじゃないですか、『おばあちゃんの知恵袋』とか、なんかそういうやつ。それ系のかな? って思ってまじまじと読んでみたらですよ。なんか、このおせんべいのキャラについての説明が書かれてたんですよね。言われてみれば、確かになんか可愛らしいキャラが描かれています。以下、コピぺです。
『「ぱるん」と「りるん」は、いつでもどこでも笑顔あふれる仲良しの2人組。「~んこ」とつく「ぱりんことば」をさがしに、いろんな場所を探検しているよ。どんな言葉に出会えるかな!?』
もう我慢出来なくて。
もうどうにもこうにも耐えられなくて。
その『~』部分になんて字を当てるか大会が脳内で即始まっちゃって。光の速さで始まっちゃって。もう『う』しか思い浮かばなくて。小学生男子かよ、とも思いましたけど、もう止まらなくて。
でも駄目だ。
これからご飯を食べるのにさすがに排泄物の話なんか出来るわけがないのです。どうして私はこのタイミングで袋をまじまじと見てしまったんだろうって後悔しましたよね。それでもなんとか耐えてご飯を食べて、向かいに座っていた○○さんも食べ終わって、それで、もういましかないと思って言ったんですよ。
宇部「〇〇さん、さっき◆◆さんからいただいたこのおせんべいなんですけど」
○○さん「どうしたの?」
宇部「ちょっと裏を見ていただけます? あの、ちょっと黙読していただいて」
○○さん「えー、なになに? ――ンフッ! ちょ、なにこれ!」
宇部「良かった。私と同じ反応ですね。あの、ちなみになんですけど、○○さんはその『~んこ』って、何を思い浮かべました?」
とは聞いたものの、私の脳内では「そんなのもう『う』一択でしょ!」とオーディエンスが大騒ぎです。U・N・KO! U・N・KO! と拳を振り上げてUNKOコールまで始まりました。
が。
○○さん「チ〇コかな!」
溌溂とした声でした。
初夏の早朝のような爽やかさでした。
朝露の輝きすら見えそうな爽やかさでした。
ちなみに○○さんは金田朋子さんに似た快活な美人で、いつも元気でパワフルな人です。いつだってエネルギッシュで、一緒にいるだけで元気を分けてもらえるような、お日様のような人です。そんな人の口から飛び出た『チ〇コ』です。こんな爽やかな『チ〇コ』は初めてかもしれません。
○○さん「もうチ〇コしか浮かばなかった!」
嘘でしょ。
浮かばないことないでしょ。
まだUNKOがあるじゃない。
むしろそれは○○さんにもついてないやつじゃん? 私にもないけど。こっちは全人類腹の中に搭載してるやつだから。ジェンダーレスなやつだから。どちらかと言えば知名度的にもこっちでは?
そう思いましたが、○○さんはもう『チ〇コ』一択だったのです。
宇部「私はウ〇コのつもりでいました」
〇〇さんばかりにチ〇コチ〇コ言わせるわけにはいきません。こっちだってちゃんと『~んこ』言葉を用意してあります。そういう思いで、カミングアウトしました。そっちがチ〇コならこっちはウ〇コです、と。
どっこいどっこいの勝負です。
どちらも小学生男子が好きな話題です。
ここでさんざんコミュ障だなんだと騒いでいる私ですけど、慣れて来るとちゃんとこれくらいの話は出来ます。とりあえず、いい年をしたおばさんが休憩中とはいえ職場で小学生男子みたいな会話をしたよ、という報告でした。
朝っぱらからすみませんでした。
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