第1823話 ハッピーバレンタイン

 ハッピーバレンタインなら14日に投稿しろよって話なんですけど。いやいやお付き合いの長い人はわかるでしょう? 宇部さんがイベントを無視するのなんてもう慣れっこじゃないですか。予約日時ずらすのなんてカクヨムコンの中間発表とかよほどの時くらいなものよ。それすらめんどいって思ってるんですから。めんどいとか言うなよ。


 それでですよ。

 本日はね、バレンタインのお話をしに来ました。定期的にハートフルなエッセイを書いておかないと、常に血に飢えてるヤバいアラフォーおばさんだと思われちゃうから。あながち間違いでもないけど。


 今年は娘ちゃんとのクッキングになりましてですね。もうね、娘は何ヶ月も前から楽しみにしてたんですよ。バレンタイン作りたい作りたいって。ここまで楽しみにされちゃあやるっきゃないのです。


 そこで用意したのは無印良品の手作りキット。二種類用意しましたが、どちらも基本的に「チョコを溶かして固めるだけのやつ」。いちいち溶かさないでそのまま食えよって言いたくなりますが、そういうことではないんですよね、乙女の心ってやつは。


 形あるものを壊したい。

 そして、再構築したい。

 己にとって都合のいい形(ハートとか)に成型したいのです(悪意のある言い方)。


 というわけで、レッツクッキングと相成ったわけですけど、良いですか皆さん。ウチの娘ちゃんはまだ小学2年生です。これが何を意味するか。


 ちなみに、本日のクッキングの工程としましては、


1、箱に書かれた手順等を確認し、必要な道具を用意する

2、箱から材料を取り出す

3、湯せん用のお湯を沸かし、トッピングのナッツを軽く炒る

4、チョコを溶かし、型に流し入れる

5・A、一旦冷やし、固まったらデコレーションする

5・B、トッピングしてから冷やして固める

6、ラッピングする

7、お片付け


 です。

 AとBって何ぞ? って思われたかもですが、キット2種類あるのでね。仕上げがちょっと違うのよね。


 それでですよ。

 じゃあ、娘ちゃんが実際にやるのはどーれだ? って話。


 あのね、4~6だけだから。

 こちらはもうあれよ。アシスタントだから。ハイ先生、こちら準備出来てます。あとはもう溶かして固めるだけです。ハイ先生、お疲れ様でした。片付けの方はこちらで全てやっておきますんで、あとはもうお休みいただいて、ですから。


 クソめんどい。

 お菓子作りでキャッキャしている娘は可愛いが、下準備と後片付けがクソめんどい。あとぶっちゃけ、娘はちょっと不器用なのです。息子の方は昔から手先が器用なタイプなのですが、娘は残念ながらちょっと色々ガサツなのです。おかしいな、ママ一応手先は器用な方だったぜ? 性格はガサツだけど。


 至る所にチョコを飛び散らせつつも、どうにか大きなトラブルもなく、何とか完成させました。1時間半くらいかかりましたかね。冷やして固めるだけのはずなのにね。


 それでですよ。

 これ、作った日、12日なんですよね。祝日でね。

 バレンタインは2日後です。


 なんですけど。


娘「どうする? 今日もう渡しちゃう?」

 

 渡したいのです。

 娘はもう渡してしまいたいのです。


宇部「娘ちゃんが渡したいならそれでも良いよ」

娘「じゃ、渡そう。チョコ、悪くなるかもしれないし!」


 渡したいのです。

 もうとにかく早く渡したいのです。

 

 というわけで、息子と共にお出掛け中の旦那にLINEです。


宇部『終わったから、いつ戻って来ても良いよ』


宇部『娘がもううずうずしてるから、早めに戻って来て』


 了解、という返事を確認して、娘に「パパとにいに、いまから帰るって」と伝えますと、もう彼女のそわそわは止まりません。外の方で車のエンジン音が聞こえる度に玄関へと向かい、「パパかも!」と。残念ながらそのエンジン音はパパじゃないんだ。別にエンジン音を聞き分けられるほど耳が良いわけではないんですけど、音の大きさでわかるじゃないですか。敷地内に入ったな? っていう音というか。


 それで結局20分くらい待ったのかな、やっと帰ってきてですね。もう仕切る仕切る。ダイニングテーブルに座らせ、目を瞑れと指示。「ママ、持ってきて」と私にブツを運ばせて、3.2.1のカウントダウンももちろん娘です。ママはあくまでもアシスタント、いや、黒子ポジかもしれません。


 パティシエール娘ちゃんは製造工程もすべて説明してくれます。企業秘密なんてケチなことは言いません。大盤振る舞いです。さもさもすべて一人でやりましたみたいな顔で得意気です。ママも結構頑張ったんだが? という言葉を飲み込めるタイプの私ではありませんので、旦那にはちゃっかり「私もしっかり頑張りました」とアピールしておきました。

 

 ママのお口には一切入りませんでしたが、美味しかったようです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る