第1419話 息子の誕生日プレゼント

 息子のね、誕生日プレゼントの話をしようと思って。


 前話のね、正月パンツを買った日、全然12月29日とかなんですけど、もうね、サプライズとかそんなのもう抜きに「息子君、お誕生日にどれがほしい!?」ってイオンのおもちゃコーナーに行ったわけです。


 息子を先頭にし、その後ろをついて回りながら、おもちゃコーナーを物色します。


 ニンテンドースイッチのソフトにも興味を示しましたが、我が家にあるPS4のやつと勘違いしていた(「ウチのゲームでできる?」)ので、出来ないやつだよと教えるとあっさり諦めました。ここで「じゃあ、できるやつ(ゲーム機本体)買って」と言ったらワンチャンあったかもしれないのに。旦那がね、近いうちに買う気でいるから。たぶん自分もやりたいんでしょうね。あとは子ども達に押されたら買うかもって。


 それでですよ。

 次は定番のソフビコーナーです。そんな安いやつでいいの!? とも思いましたが侮るなかれ。ものによっては四桁のやつもあります! それにしたって安いけども。


 そこで彼が目をつけたのは、ヒーロー側のソフビではありません。怪獣の方でした。うむ、さすがは私の子。まぁ、仮にソフビをねだるなら、三つでも四つでも……などと考えておりますと、彼が手に取ったのは『ギャオス』! こいつが四桁のソフビです。それをピンポイントで選ぶ息子!


 ちなみにこちらの『ギャオス』ですけれども、ウルトラマンの怪獣とかではありません。ガメラに出て来るやつです。パパもママも生まれてねぇよ。


息子「これはね、ガメラに出て来るやつだよ!」


 ママは基本的にポンコツですから、僕が教えてやらねばとでも思ったのでしょう。彼のプレゼンは止まりません。正直右から左だったので、全く覚えてないのですが、とにかくギャオスはガメラに出て来た怪獣なのです。価格は四桁なのです。


 このままギャオスになるのかと思いました。

 良いよ、全然ギャオスでも。ただ、額が額だし、何かもう一つプラスして――などと考えておりますと、息子はそれを元の場所に戻してまた歩き出しました。


 ギャオスではない。

 

 そういう意思表示のようです。

 良いよ。

 この際何でも良いよ。

 ママ、パパからちゃんとその分のお金もらってるし。足りなかったら足しても良いし。ママはそのために働いているんだから。


 辿り着いた先は、なんて言うんだろう、あの家族みんなでわちゃわちゃと遊ぶ系のゲームコーナーでした。カテゴリとしては『黒ひげ危機一髪』とかそういうやつです。ああはいはい、お正月とかね、昔はテレビに飽きたらこういうのやったわね。松清家では大人は花札でしたが、子どもはドンジャラ(子ども用の麻雀)とか、そういうのだった気がします。そういう系統のコーナーです。


息子「僕これが良い」


 おおよっしゃ、どれどれ?


 何か、マリオの脱出ゲーム的なやつでした。然るべきタイミングでボタンを連打したりしてプレイヤーに見立てたボールを転がしていくようなやつ。対象年齢は5歳からとあります。大丈夫、僕はその倍生きてるんだぞ、と。


 正直なことを言えば、10歳ってこういうので遊ぶんだ! というのが感想でした。良いけどね。良いけどね! 


 帰宅後、早速遊んでましたね。

 誕生日はまだでしたけど、もうあげちゃえ、当日はケーキがあるし! って。


 そんでその当日、ケーキを取りに行ってですよ。某アイスクリーム屋さんのアイスケーキですわ。ピカチュウのね、可愛いやつ。よーし、とりあえずご飯の準備して……っていそいそしてて気付いたんですよね。


 待って、ウチ、マッチもライターもチャッカマンもないんじゃない?

 だって! 誰もタバコ吸わないし、ご仏壇もないから! ついでにコンロだってIHなんだもん!


旦那「…………買ってくる!」


 車のキーを引っ掴んで旦那は家を飛び出しました。

 時刻は17時半。いつも20時までやっている我が職場は正月営業の為18時閉店です。旦那は走りました。絶対間に合うけれども走りました。何せ徒歩でも5分の距離です。


 それから20分くらいしたでしょうか。


 もりもりに膨らんだコンビニ袋をガサガサさせて、旦那は帰宅しました。


旦那「いやー、まさかチャッカマンが家電コーナーにあるとは思わなくて、迷った迷った」


 私としたことがうっかりしていました。

 場所まで細かく教えれば良かったと悔やみました。


 それはそれとして、そのコンビニ袋は何?


旦那「ホッとしたから、コンビニでお菓子とか買ってきた!」

宇部「じゃあ最初からコンビニでライターを買えば良かったのでは」

旦那「あっ!!」


 私はね、あなたのそういうところが最高に面白くて好きです。

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