第1318話 やり遂げた感
とにかくちょっとやそっとで落ち込む人間の私ですが、逆にちょっとやそっとのことでテンション爆上げになったりします。ほら、お鍋の蓋のつまみを交換したとか、自分で自転車のカゴを取り付けたとかね、そんなことでQOL(Quality OfLife)が爆上がりしちゃう単純野郎なので。
さて、そんな単細胞のポンコツなんですけど、先日の台風が通過しましたら、一気に寒くなったじゃないですか。まぁ多少は涼しくなるかな? とは思ってたんですけど、さすがにここまでとは予想外でしたね。クソ
宇部「子ども達よ、今日は長袖長ズボンで行く? それとも半袖半ズボンで行く?」
朝、そんな風に聞いてみたらですね、何かとアクティブな娘の方は「わたし、半袖半ズボン!」と返ってきたんですけど、インドアで寒がりの息子の方が「僕、半袖と長ズボンにしようかな」と。
聞いといてアレだけど、サイズ大丈夫かな。
何せこの夏、あまりにお尻がぷりぷりなせいで140のハーフパンツがパツパツになった男です。去年の冬に履いたやつって140……? それとも一枚くらいは150を買ってたりしないかな……?
そしたら、案の定140しかなくて。それでもまぁ多少パツってるくらいならね? 今日のところはそれで勘弁してもらうとして……などと思いながら履かせてみたら、もう多少パツってるとかそんな次元じゃなくて。
仕方ないので、今日一日我慢してもらうことにしました。
そして、私のその日の予定に『子ども達の服を仕入れる』が加わったわけです。良かった、旦那のお給料を口座に入れる前で(旦那のお給料は手渡し)。そこから諭吉さんを1枚いただいて、
その前に実家に写真を送らなければならないため、郵便局にも行かなくてはなりません。この『郵便局』が厄介です。
秋田県某市に住んでかれこれ7年ですかね。
私、いまだにこの『郵便局』がどこにあるのかわからないんですよね。私の生活圏内にないため、一向に覚えられないのです。何となく場所のイメージだけはあるんですけど、「確かこの道をまっすぐ行ったらあるはず」というところにないのです。移転した? っていっつも思うんですけど、移転してないんですよ。さんざん迷ってから地図アプリを開いて、それでやっとたどり着けるんですよ。
だけどね、今回は違います。
今回はちゃんと出発前に調べましたから。
ふんふん、いつもここで曲がるから間違えるんだな。こっちで曲がれば良いんだな、って確認しましたから。それでも慣れって恐ろしいもので、やっぱりその間違ってるところで曲がろうとしちゃったりしましたし、正しいルートのはずなのに「絶対この道違うでしょ」とか思いました。でも、間違ってなかった。間違ってるのは私の脳よ。
そんで、今日は何かすごいやり遂げたぞっていう充足感と共に、そこから4キロ先の西松屋さんへ向かったんですけど、その途中にある公民館的な建物の前を通った時にですね、刈りたての草の匂いがしまして。ちょうど信号も赤だったので止まってね、ああ、この刈ったばかりの匂いって良いなぁ、なんてのほほんとしておりましたら、
……せ、……っけん、……っと……ち……
何かね、微かに聞こえるんですよ。
それと、何かガリガリ引っ掻くような音ね。ホラーの導入かよ。
何だ何だ? って振り返ってみたら、たぶんその建物の職員さんなのかな? 結構なおじいちゃんがですね、おっきな熊手でその草を集めてて。ガリガリはその音だったのかー、なんて。でもそれ以外にも何か聞こえるんですよ。どうやら首から下げてる小型ラジオっぽいやつから聞こえてるみたいで。年配の方ってラジオを流しながら作業しますよね。イヤホンとか使わないのかしら。
そんで、そのおじいちゃんが集めながらこっちに近付いてくるわけですけど、近付くにつれてその流れてる曲もね、はっきりしてくるわけです。
……まだ、……すんだ……ブレストファイヤー
アニキ!
水木のアニキだ!
マジンガーじゃん!
マジンガー流れてんじゃん!
マジンゴーマジンゴー歌ってて。
アニキが。
水木のアニキが。
もうね、いまマスク社会でほんとによかったな、って思いましたね。いまの私明らかにやべぇやつだな、って顔でね、ニッヤニヤしながらチャリ漕ぎましたから。何かもう嬉しくてね。だってこんなサプライズマジンガーあります?
そんでその後、往復8キロ走った愛車からキュコキュコって嫌な音がするようになっちゃって、初めて自分でオイル差してみたら、全く音がしなくなってですね、そんなところでもまた「一人で出来た! やれば出来るじゃん!」って。とにかくもうその日はとんでもなく「やり切ったな」って気持ちでいっぱいでしたね。
ただ単に郵便局行って、サプライズマジンガーで、子ども達の服を買って、自転車にオイルを差しただけなんですけど。
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