第1316話 名推理

 我が家のね、トイレなんですけど。


 ちょっと最近宇部さん、下の話多くない? って思われたかもですが、このエッセイなんてね、そんな高尚な話書いたことありませんからね。むしろこんな話ばっかりでしょうよ。


 我が家には一階と二階にトイレがあるんですよ。いまは割とこれが普通だったりするんですかね。実家は一階にしかなかったんですけど。


 で、その二階のトイレはですね、手動で流すんですよ。一階の方は自動で流れるやつで。もちろん手動に設定も出来るんですが。だからほら、ドックの検Bの時には二階で採取しないと採る前に流れちゃう、っていう最高にもったいない事件が発生するわけです。


 ただまぁ、使用率はめちゃくちゃ低くて、せいぜい夜中のトイレくらいかな。朝は各々のトイレタイムが微妙に被らないことが多いので、「ちょっと誰いま入ってるの!? んもー!」みたいなことはそうそう起こりません。


 それだけにね、発見が遅れることがあるんですよ。


 流し忘れね。


 普段自動で流れる一階のトイレを使ってるからね。ましてや夜中のトイレですから。そんなの半分寝てるようなものですから。ちゃんとトイレで出してるだけでも十分奇跡ってなもんですよ。


 ただね、まぁ、ほんとに下手したら3日4日全く使ってないこともあるものですから、お掃除をね、少々サボりがちなんですよ。ま、明日でいっかー、みたいな。


 そしたらね、そういう時に限ってね、残ってたりするわけ。大丈夫、Bではないの。さすがに。だけれども、丸一日放置された尿の破壊力たるや……。


 絶対にね、子ども達なんですよ。


 私が二階のトイレを使う時というのは、まぁそこそこ起きてる時ですから。寝る前に一階のトイレで出したけど、そこからなんやかんやスマホいじいじしてたら眠れなくなって、マジでそろそろ寝ないとヤバイな、じゃもっかいトイレ行っとくか、みたいなやつですから。これで流し忘れてたらヤバいでしょ大人として。


 そんで旦那もですね、基本的には一度寝たら朝まで起きない人ですので、一階のトイレしかほぼほぼ使わないわけです。


 絶対にね、子ども達なんですよ。


 子どもだから仕方ないかー、とも思いますけども、子どもだからこそいまのうちから躾けておかねばとも思うわけです。何せ一回二回じゃないんでね? だったら毎日チェックして毎日掃除しろやって話ではあるんですけど。いやー、仕事もあるしさー(現実逃避)。


 そうなるとね、じゃあ、どっちだ、ってなるじゃないですか。一応、二人まとめて「夜中、二階のトイレに行く時は流し忘れに気を付けてね」って注意したんですけど、でも、そんな粗忽者は一体どっちなんだコノヤロウって思うわけですよ。出来ることなら犯人の方には個別に釘を刺しておきたい。トイレ、マジでとんでもない異臭を放つから。蓋を開けた瞬間にもうマジでとんでもないからさ。頼むぜマジでって念を押しておきたい。


 でも、どっちなんだ。

 いっそどっちにもその体で念を押しとくか? まぁ、どっちもやってるかもしれないしな。


 そこまで考えて私は気付いたんですよ。

 待てよ、と。


 トイレットペーパーが残ってない時点でもう犯人なんてわかりきっているのでは? と。


 そうだよ、女だったら絶対ペーパー使うじゃん。例え一晩放置したとしてもペーパーがきれいさっぱり溶けてなくなりました、なんてことはないもんな! さすがに寝ぼけてても拭くでしょ、娘。そうだよね? そうだと言って?!


 こんなのね、すぐに思いつくやつですよ。

 だけどね、なんかもう「すげぇ、名推理じゃん、私!」って。


 ほら、金田一君がね、偶然使用中のトイレのドアを開けちゃって、入っていたのは女子だったのに便座が上がっていたのに後から気付いて「あれ? 女子って普通便座上げなくね?」というところから犯人を導き出した、みたいなやつですよ。そうか、ペーパーが残ってないということは、つまり犯人は男! って。


 というわけで息子には個別にこっそり念を押しておきました。ママびっくりしちゃうから頼むね、って。


 あと余談ですけど、私たぶんその金田一少年の回で、男性は洋式便座の場合、便座を上げて用を足すって知った気がします。実家は男子用の便器があったので、立ってすることはもちろん知ってたんですけど、洋式便器しかない場合は座ってしてるもんだとずっと思ってて。だってどう考えても跳ねるし。


 ほんとね、跳ねるんですよ。

 だけどたぶんなんか男のプライド的なものもあるんだろうな、って思って座ってやれとは言えないけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る