第1088話 揃わない
相変わらず、まだ家族4人でお風呂に入っている宇部家です。
ただ、どう頑張っても湯船に入れるのは大人一人子ども二人までですので、私が先に上がることになります。
子ども達はママが上がった後、どういうわけかパパの脇毛で遊んだりしているらしく、もちろんこちらに届いて来るのは旦那の「それ脇毛だから!」という悲痛な叫びと子ども達の楽しそうな笑い声だけなんですけど、何をどうしたら父親の脇毛で遊ぼうという発想になるのかわかりません。私でさえ旦那の脇毛で遊んだことはありませんし。子ども達が思春期を迎えたら半笑いで教えてやろうと思います。
さて、そんなある日のこと。
先に上がって着替えを済ませ、潤いが逃げないうちにとスキンケア(アラフォーはその辺もスピード勝負)しておりますと、こんな声が聞こえてきました。
娘「パパ、答えをみんなで合わせるやつやろう!」
何だそれ、と思いましたが、どうやら『〇〇の〇〇と言えば?』みたいなお題を出して、三人が同じ答えを出したらクリア、というやつのよう。
ほうほう、これは何やらネタの予感。ママはニベアをぬりぬりしながら聞く体勢に入ります。
娘「最初はわたしが問題出すね! じゃあ、からだの大きな動物といえば? せーのっ」
ほほう、娘よ、なかなか良い問題を出すじゃないか。そうだなぁ、ママはねぇ、カバかな?
そんなことを考えながら三人の解答を待ちます。
娘「ゾウ!」
旦那「ゾウ!」
息子「シロナガスクジラ!」
息子!!
確かに!
確かにね?
めっちゃ大きいよあいつは!
それに動物っちゃー動物だもんな。すげぇじゃん、あのわずかなシンキングタイムでよくもまぁ出してきたじゃん。しかもただのクジラじゃねぇんだもんな。シロナガスだもんな。最高かよ。
でもここはさ? 一般的にはゾウじゃん? カバかな、って思ってたママが言うことではないけども!
旦那「よーし、じゃあ次はパパが出すね。お味噌汁の具と言えば? せーのっ」
おっ、これも良い問題。
ママ個人としては大根と油揚げのお味噌汁が昔から大好きなんだけど、まぁこれも一般的に、って話であれば豆腐かな? ウチでもよく豆腐の出すし。
娘「おとうふ!」
旦那「豆腐!」
息子「シジミ!」
息子!!
それお前が好きなやつだろ!?
ただ、息子よ。ウチで出してる貝の味噌汁、あれはアサリなんだ。シジミじゃないんだ。ごめんな、シジミの方が好きなのかい?
ていうか、揃えるゲームなんだから、揃えろや!
さぁ、なかなか心が一つに――というか、解答が一つにならない仲良し家族です。どうするのよ、とママは脱衣所でハラハラ見守ります。次は息子が出題する番です。なんかもう頼むから「耳の長い動物は?」とかにしてくれ!
息子「次はぼくね。えーっと、それじゃあー、頭の形がー」
なんかもう嫌な予感しかしません。頭の形って何。
息子「ハンマーの形になってる海の生き物は? せーのっ」
ハンマーヘッドシャーク!
ハンマーヘッドシャークだそれは!
確かにそれなら揃う! 間違いない!
ただ、一つ問題があるんだ息子……。
旦那「ハンマーヘッドシャーク!」
息子「ハンマーヘッドシャーク!」
娘「わかんない……」
そう、そんな生き物を妹が知ってるわけがない、っていうね。
息子の解答と問題が個性的すぎでまったく揃わないまま、
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