第1036話 それはヤングに勧めてくれ

 スマホって日々謎のアップデートしません? まぁ、スマホあちらさんの方では謎でも何でもないんでしょうけども。


 ただ、まぁとりあえずアップデート関係は文句も言わずに行うようにしています。ほぼほぼ脊髄反射でアップデートしているので、ある日突然「お前そんな感じだったっけ?」みたいな感じで見た目がガラッと(言うほどガラッとでもない)変わることもあり、困惑することもしばしば。


 さて、そんなある日のことです。


『新しい壁紙を試してみませんか?』


 そんなお知らせがスタート画面(ってな名前なのかはわからないけど、スリープを解除して最初に出てくる指紋認証とかする画面)に表示されるようになりました。いまちょっと文面は忘れてしまったんですけど、何か日々変わる壁紙で気分をアゲていきましょう、みたいなそんな感じでした。


 私のスタート画面(もうこの表現でいいや)って、初期設定のままで、なんかふわっとした青い風景なんですよ。どんなんだったっけ、っていま確認したんですけど、これはあれですね、夜の砂漠でした。夜だから青くなってるんですよ。これはこれでシンプルで気に入ってるんですけど。


 でもまぁ、たまには違う壁紙でも良いかもしれない。気分アゲアゲでいい感じかもしれない。


 そんな気持ちで、そんじゃいっちょ頼むわ、ってお願いしたんですよ。


 そしたらですね、すんごい美味しそうなスイーツの画像とか出てきて。ウワー、可愛い〜! って、さすがの私もテンションがアゲアゲなんですよ。テンアゲなんですよ。


 ほら、一応私も元々は女子だったというかね? もう20年前はティーン……ってあれ、確かにティーンではあるけどそこまでピチピチなティーンでもねぇな。おい、20年も遡っても駄目なのかよ! アラフォーともなると、たかだか20年遡った程度では、キラキラキャッキャしてたあの頃には戻れないってこと?! ちくしょう!


 まぁ自分の年齢に対する愚痴はその辺にしまして。

 とにかくこちとらかつてはキャッピキャピのティーンだったものですから、昔取った杵柄でスイーツにキャッキャすることもあるわけです。


 それでですね。


 ちょいちょい変わるってのは知ってたんですよ。何かそんなこと書いてましたから。私のパソ子ちゃんもですね、スリープを解除すると、何かいろんな壁紙を見せてくれるんですけど、それがだいたい3~4日くらいで変わるものですから、このスマホもそんな感じで変わるんだろうな、って思ってたんですよ。


 が。


 毎日どころか、スリープを解除する度に違うもの見せてくるんですよ。


 アタイ、こんな画像も持ってるんだから! 見て! ねぇ見て! これも良いでしょ!? これもどう?!


 そんなノリでグイグイ見せて来るんですよ。もうね、そういうの宇部さんが一番苦手な人のテンションだから。まず間違いなく近づかないタイプの人ですから。


 もうね、忙しなくて。

 毎回違ったのを見せられるとですよ、「アレっ? これ私のスマホじゃない?」みたいな感じになっちゃって。ソワソワしちゃうわけですよね。まぁ、指紋認証してホーム画面を表示させれば、我が子が出て来るんですけど。そこで、ああ、私のスマホだ、って。指紋で開いてる時点で私のスマホ確定なんですけど。


 とりあえずね、おばちゃんにはちょっとそういうの合わないかな、って、初期のやつに戻しました。ええ、あの青い砂漠ね。ほら、おばちゃんのお肌も砂漠みたいなところあるし、仲間意識仲間意識。


 その後もちょいちょい勧めてくるんですけど、こういうのはさ、ウェーイなパリピとかさ、スイーツチョー可愛い~アゲ~! なヤングに勧めてもらえたらな、って。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る