第1033話 授業参観

 そうそう、尻からバリウムの話でちょっと霞みかけたんですが、息子の授業参観があったわけです。せつないご飯を食べ、で、翌日に検査を控えた日のことです。


 意外と昼食のカロリーメイトみたいなやつが健闘してくれて、参観中はこちらのお腹のカンタータを披露することなく終わりました。ありがとうカロリーメイトモドキ。


 ちなみにこのせつないご飯セット(もちろん正式名称は違うやつ)、あの天下のキューピーさんが作っているようです。すげぇ、マヨネーズだけの会社じゃねぇのかよ(ドレッシングも作ってます)。


 だからきっとこれも、検査食の中ではかなり美味しいものなんだろうなって思うんですよ。ほら、自衛隊さんが食べるレーションでしたっけ。そういうのも日本のは美味しいって聞いたことがありますし。


 だけどこちとらもっと美味しいものを知ってるんでね?


 というわけで、低カロリー状態で向かった愛息子の参観日。内容は組で育てたさつまいもに関する劇を披露してくれるとのことでした。


 ドキドキしながら教室に向かいますと、ちょうど息子が廊下におりまして。


「ママー!」


 全力のママ呼び!

 君、今朝も会ったよね!?


 からの抱擁。宇部家の愛情表現はTPOを弁えない感じのアメリカンスタイル。いや、今朝も会ったけどね!? めっちゃ久々の再会感出してくるじゃん。変な噂立つから止めてくれ。でも可愛い。間違いなく可愛い。学校で見る自分の子ってなんでこんなに可愛いんだろう。誰かこの謎を解き明かしてくれ。


 見ると息子は手にリコーダーを持っています。だいぶ大きくなったとはいえ、まだまだ小さいおててにソプラノリコーダーです。可愛いが渋滞を起こしております。


宇部「息子君、今日はリコーダーも聞かせてくれるの?」

息子「うん! ママちゃんと写真撮ってね!」

宇部「任せろ!」

息子「動画もね!」

宇部「当然だ!」


 バッテリー100%のスマホを持って、ママは得意げです。ただし、ママのお腹の方は15%くらいでしょうか。いますぐ充電してくださいと画面上部に何かしらのアイコンが表示されるやつ。


 さて、劇は無事に終わり、「ヤバいな、どう考えてもウチの子が一番演技派だったんだが?」と撮った動画を旦那に早速LINE。旦那の方でも「これは芸能事務所が黙ってない」「ジュノンボーイ待ったなし」と親馬鹿フルスロットルでした。

 

 そして、いつも元気いっぱいのK先生(担任)がですね、「あの、お母さん……」とこっそり耳打ちしてくるのです。


 何でしょう、と耳を傾けますと。


先生「実はいま図書館の方で、『好きな絵本の好きなシーンの絵』みたいなのを募集してるんですよ」

宇部「へぇー」

先生「私ですね! 息子君にどうしても描いてもらいたくて!」

宇部「良いですねぇ」

先生「ですよね! それでずーっと口説いてるんですけど、『絶対に遠慮します』って首を縦に振ってくれなくて~」

宇部「頑な!」


 ていうか、断り文句が固いよ息子! 絶対に遠慮すんな! 絵はお前の得意分野じゃねぇのかい!


先生「ぜひお母さんからも誘ってみてください」

宇部「わかりました。やれるだけのことはやってみます。ただ、気持ちが乗らないと絶対に描かない子なので」

先生「存じております!」

宇部「ですよねー」


 そんで私からも色々誘ってみたんですけど、やっぱり断られましたね。なぜなんだ。

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