第1003話 様式美

 今日はですね、様式美の話をしたくて。

 ほら、なんていうかね、時代劇にはよくあるじゃないですか。『水戸黄門』とか『暴れん坊将軍』とか。様式美というか、お約束というか。


 どんなに「あれ? さすがに今回は無理じゃね?」ってくらいにピンチになっても、最終的にはこの紋所が目に入らぬかー! ははーっ! だし、上様の名を騙る不届き者め、かかれ! からの、成敗! じゃないですか。


 まぁ、『暴れん坊将軍』の場合は、「上様の名を騙る不届き者め!」パターンの他にも色々あるんですけど(この辺も旦那が詳しい)、とにかくまぁ成敗じゃないですか。『遠山の金さん』も桜吹雪をババーンと出すじゃないですか。


 だけど見てる側はですよ。

 少なくとも、好き好んで見てる側はですよ。


 まーたこのパターンかよ、とはならないわけですよ。


 むしろ、「いよっ、待ってましたぁ!」なんですよ。それが見たくて見てるんだこっちは。


 それでですよ。

 今回はですね、私の大好きな絵本の話をしたくて。これもね、定番の流れがきっちり決まってるやつなんですよ。というわけで、今回はネタバレを含むやつですので、例え絵本であってもネタバレは許せねぇ! という方はここでお別れです。明日はネタバレなんてない平和な世界でお会いしたいですね。まだ何にも書いてないけど。


 いやいやその前に何の絵本か教えろよ、って方が大半かと思います。『アンパンマン(割としっかりストーリーがある)』なら許せないけど、『いない いない ばあ (松谷みよ子さんのやつ、ほぼほぼストーリーはない)』なら許せる、という方もいるでしょうし。


 あのね、『ノラネコぐんだん』シリーズなんですよ。ちょっとふてぶてしい顔をした黄色い猫達(確か8匹)のお話。人気のあるやつなので、読んだことはなくても本屋さんで見かけた方は多いのではないでしょうか。


 いや、この絵本がですね、私も旦那も大好きで。絵本なので一応子ども達のために買ってるんですけど、だけど新刊(1年に1~2冊出る)を待ち望んでるのは、確実に子ども達より我々なんですよ。


 私、絵本を立ち読みして吹き出したの、このシリーズと、ヨシタケシンスケさんの『もうぬげない』くらいなんですよね。クスっ、とかじゃなくて、ぶふっ、て吹き出しましたから。


 それで、そう、ここからその『お約束』部分についてお話しするので、マジでネタバレ厳禁な方はここでお別れです。いますぐ本屋さんに走ってシリーズ制覇し、そしてその足でこの続きを読んでくれ(結局読んで欲しい)。



 まずですね、この世界には『ワンワンちゃん』という敏腕すぎるキャラがいるんですよ。彼はパン屋とすし屋とアイスクリームパーラーと団子屋さんとカレー屋さんとケーキ屋さんとラーメン屋さんを経営し、汽車と飛行場を持っています。しかもすべて人に任せるのではなく、自分で仕切っているわけです。これそのうち美容室とかブティックなんかにも手を出すんじゃないかと。


 それでですね、導入は決まって『ここはワンワンちゃんの○○(店名)』なんですよ。彼が、助手? 妻? のマーミーちゃんと働いているのを、ノラネコぐんだんが覗いているわけです。その僅かな時間で商品の作り方などを学んだノラネコ達は、閉店後などに忍び込み、自分達もそれを作ります。お腹いっぱい食べるためです。


 で、なんやかんやあって、何かが大爆発を起こし、最終的にはワンワンちゃんに正座させられて説教され、焼け野原になった店跡で青空マーケット的なものを開催してどうにか売りさばいた後、「○○(商品名)全部売れて良かったですね、それでは我々はこれで失礼します」と帰ろうとするノラネコ達を引き止め、店の建て直させる、というエンドになっています。


 もう絶対このパターンなので、読んでる側としてはですよ、おい、今回はどれが爆発するんだ?! これか? えっ、これじゃないの? もしかして今回爆発ないとか……? いいや、そんなはずはない、ノラネコぐんだんだぞ? 彼らは絶対やってくれる……やってくれる……!


 はい、キタ――――――!!

 今回はこれかァ――――!!


 って。

 もう待ってるから。

 大爆発からの正座で説教コースを待ってるから。


 ちなみに最新刊ではとうとう火山が爆発しましたね。

 旦那と、空き地の土管に座って一緒に漫画読んでるジャイアンとスネ夫風に並んで読んだんですけど、ノラネコぐんだんが火山に移動した時の彼の興奮具合がヤバかったですから。おい、ここはどこだ(A:火山)、おい、やべぇぞやべぇぞ……って。


 マジで大人も子どもも楽しめるやつです。

 きっと子ども達が絵本を卒業してもこれだけは買い続けるでしょうね。

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