第968話 近況色々

 さすがの私の手腕をもってしてもちょっとこれじゃ1話分厳しいかな、っていう小ネタが溜まったので、オムニバス形式でお届けしようと思います。



・旦那がピスタチオマシーン化


 日々の教育の賜物とでも申しましょうか、もう『ピスタチオ』という単語を発見するや即買い物かごにぶち込むまでに成長いたしました我が旦那。最早蒸着(0.05秒)のスピード。後でプロセスも見せてくれ。


 そんな彼、ピスタチオだけではなく、『ピスターシュ』という言葉も覚えました。どうやら『ピスタチオ』のフランス語表記のようです。もう『ピス』辺りで反応しているのかもしれません。それでいうと『カルピス』でも反応しちゃうんじゃないかしらってちょっとハラハラしています。冷蔵庫に入ってる、普段絶対に買わないカルピスウォーターの500㎖ペットボトルってもしかして……。



・ボディケアライフハックの落とし穴


 例の怖すぎるホラー映画を見る際のライフハックですね。良い香りに包まれることで怖さを和らげるという、そこまでして見ないといけないのか? という、私考案のライフハックです。そこまでしても見たいんだから仕方ないのです。

 

 ところがですよ、ここへ来て厄介な問題に直面しまして。


 私が愛用しているのがですね、まぁもちろんお高いやつではありません。500㎖入って1000円くらいの『Diane BOTANICAL』のバーベナ&ハニーの香りというやつ。ポンプ式で、とてもいい香りなんですね。

 これがですね、ボタニカルと書いてるだけあって、なんかこう……自然! ハーブ! みたいな感じなんですよ。それが今回私のメンタルをガタガタにした『ミッドサマー』の世界観とめちゃくちゃ合致してて。


 もうわかりますね?


 普通にボディケアをしているだけなのに、あのシーンが浮かんで来ちゃうんですよ! あの映画、終始明るいんですよ。白夜なので。そんな明るい中で大自然に囲まれてるんですよ。パッと見、めちゃくちゃ爽やかで健全。絶対こんな香りなんですよ。これが桃とかバラとか石鹸とかそういう感じの香りだったらそんなことなかったんでしょうけど。バーベナがもうドンピシャで! ボタニカルちくしょう!


 慌てて別のやつ買ってきましたわ。ごめんなバーベナ。お前に罪はないのに。このボディクリームは怖い映画を見る時用にします。こう、怖さを上塗りしていって、『ミッドサマー』感を消す、みたいな。やめろ、ホラーがミルフィーユ状態になるっつーの。



・息子のマラソン大会その後


 息子のマラソン大会が終わって数日後、彼が学校から帰って来てですね、何かを後ろ手に持ってにっこにこしながら「ママー」って来るわけですね。もうそれだけで尊死からの成仏しそうだったんですけど、何とか耐えておりましたら、「これー」って言いながら、その持ってたものを渡してきたんですよ。


 マラソン大会の賞状(完走賞)でした。

 端には順位のカードもホチキス留めされています。29位、堂々のビリ(厳密にはビリから2位)です。


 もうね、それを差し出してきた時の彼の誇らしげな顔ね。もう1位とか2位とかそういう上位の子みたいな顔してるんですよ。ビリなんですけどね。


 その時にね、思ったんですよ。


 この子は、この順位でもママが褒めてくれるって思って持って来たんだな、って。


 私の場合はですね、なまじ母親が運動が出来るタイプ(球技も陸上も)の人だったものですから、常日頃から「私の子なのになぜ」と言われておりまして。それでもまぁ怒られるほどではなかったんですけど、もちろん褒められるなんてことはありませんでしたし、「あーはいはい、げっぱビリ(方言)ね」みたいな反応でして。だから体育系の行事は本当に憂鬱で。

  

 だけど息子はね、最後まで歩かないで走るっていう目標を立てて、それを達成出来たわけですから、何を恥じることがあろうかっていう。


 だからね、これをにこにこしながら持ってきてくれたことが嬉しくてですね。順位なんかで怒ったり呆れたりするようなママじゃないって信じてくれているのが嬉しいなって。


 もう頭をわっしゃわっしゃしてやりましたわ。


 そんなね、良い話で〆たいと思います。

 宇部さんもね、そんなハートフルなエッセイ書けるんだぜって。

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