第884話 良くはないのである

 私の大好きな俳優さんがお亡くなりになりまして。

 田村正和様ですね。ご冥福をお祈り申し上げます。


 私はもともとファザコン気味と言いますか、昔から若い俳優さんとかアイドルには全く興味がなくてですね、それよりは時代劇に出て来るような渋い俳優さんが大好きなんですね。高橋秀樹様然り、北大路欣也様然り、松平健様然り。私のパパンがそれ系のイケメンなものですから。いやぁほんとどうして私父親に似なかったんだろう。父親に似ていたら、いまごろ確実に超絶美人だったのに。


 なので、友人がやれJの事務所の方々にキャーキャー言っていた時も、いや、そんな若いやつには興味ねぇとか思ってたわけです。アラフォーになったいまはですね、20代の俳優さんなんかは「アラー、可愛いわねぇ」とは思うものの、「あと20年この業界で頑張ってくれ。話はそれからだ」状態です。

 ちなみに、よく父親に似た男性を選ぶ、なんて話を聞きますけども、旦那はパパンには似ていません。旦那は鈴木亮平さんに眼鏡をかけた感じ(と私は思っている)です。ただ、私に激甘なところがパパンとそっくり。甘やかされて生きています。


 そう、それで田村正和様です。

 やはり当たり役は『古畑任三郎』ですよね。私も大好きで、再放送はなるべく見逃さないようにしてましたし、DVDも何度も借りました。


 古畑任三郎は長いシリーズですし、このドラマの話題になると、どの話が一番好きかって話になるじゃないですか。でもこれ、悩むところでして、あの話も良かったけど、この話の正和様も最高だったわね、って選びきれないんですよ。結局全部好きなんですよ。


 なので、一番好きか、って言われると「いや、これが一番ってわけでは……」と思いつつも、それでもたぶんかなり上位に食い込むのが明石家さんまさんが犯人のやつですね。あれは良かった。裁判シーンも恰好良かったんですけど、それよりも逮捕された今泉君とやりとりしている時の正和様が良いんですよ。「自分とあの弁護士とどっちを信用するのか」「自分が間違ったことを言ったことがあるか」って、しびれましたねぇ。


 それでですよ。

 正和様がお亡くなりになってですね、やはり、と言いますか、古畑任三郎の再放送をやってくださる、と。これは録らねば! ってなりますよ。まさか全シーズン放送してくれるとは思っていませんでしたが、もうこの際どれでも良いから、生きて動いている正和様を見せてください! って。


 そしたらですね、残念なことに秋田ではやってなくて。しょんぼりですわ。


 そんなこんなでがっかりして日々を過ごしていたんですけども、どうやらかなりの反響があったとかで、また放送してくれるみたいだよ、って旦那が言うわけです。いやどうせ秋田では……とも思ったんですけども、いや、こうなったらもうマジで全国区で放送しようぜ! っていう動きがあったかもしれないじゃないですか。


 そしたらですね、とんでもない事実が発覚しまして。


旦那「ごめん! また放送する、っていうか、もう放送してたみたい! しかもさんまさんが犯人のやつ!」


 って。

 

 えぇ――!!!!!!

 既に放送しちゃってたの?!

 終わったの?! これは残念無念!!


旦那「い、いや、でもまだわからない! もしかしたらまた秋田ではやってなかった可能性もある!」


 そうなのです。

 もしかしたら今回もそもそも放送していなかった可能性もあります!

 そうだとしたら、どのみち見られなかったわけですから、見逃したとかそういう次元ではないわけです。放送前に知ってたとしても結果は同じですから。むしろそっちの方が悔しかったかもしれませんし。


 だからね、必死に調べましたよ。

 秋田でそれを放送していたのか否かを!


旦那「やった! してない! 放送してないよ!!」

宇部「やった! 良かった! わーい!!」


 良くはないのである。


 確かに放送そのものがなかったのならば諦めもつく、というだけの話であって、放送していなくて良かったね、という話ではないのです。秋田でも放送してくれよ。


 その後、無事秋田県でも再放送が始まりましたが、さんまさんの回ではありませんでした。いま、第3シーズンを放送中です。

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