第885話 いらない穴リターンズ
数日前に書きました『いらない穴のあいている鞄』の続編です。まさかの続編なんですよ。は? 鞄にいらない穴があいているってだけの話に続編も何もなくない? って思われたかもしれないんですけど、私もまさかこの話で続編を書くことになろうとは思っていませんでしたとも。
さすがは我が最愛の旦那(の鞄)。このように、まさかの話がシリーズ化したりするのでほんと侮れません。いや、シリーズ化させてたまるか。
そんで、なんかもうその穴がですね、ツボ過ぎて。もうまじまじと見るたびにちょっと笑っちゃうようになってしまった私です。たかだか鞄に穴があいているってだけで笑うとか、箸が転んでもおかしい年頃っていうのはどうやら10代後半あたりらしいんですけども、鞄に不要な穴があいているのを見て笑っちゃう年頃はどうやら30代後半のようです。
そう、それでですよ。
ちょっとお出掛けして来るね、と旦那がその鞄を背負って出掛けようとするのをお見送りしようとしたわけですけど、やっぱり笑ってしまうわけですよ。ぐふ、いらん穴あいてる、と。でもさすがにそろそろしつこいだろうな、って一生懸命堪えようとしたんですよ。私だって一応大人ですんでね。だけど、堪えきれなかったのです。何なのよ、その穴の破壊力。
するとね、寛大な旦那は「わかってるよ」と慈愛に満ちた笑みを向けてくるわけですよね。
旦那「この穴だろう? ふふふ(ナデナデ」
宇部「ちょ、もう止めて。愛おし気に擦るの止めて。頑張って堪えてるんだから!」
旦那「良いんだよ、笑ってやってくれ」
宇部「クッソ、たかだかいらん穴ってだけで何でこんなに面白いんだ……っ!」
旦那「ごめんな、穴。いつか何か別のものを通してやるからな」
宇部「そうだよ。何もイヤホンじゃなくても良いんだよ。ほら、充電ケーブルとかさ」
旦那「ああそうか、充電ケーブルか」
とここで旦那が謎の動きをしたわけですよね。どうやら脳内でシミュレーションしているみたいで、ごそごそと自身のスマホの方を鞄に入れる動きをしたわけです。
宇部「ちょちょちょ! 逆でしょ! スマホをそっち入れてどうすんのよ!」
旦那「え? スマホを
宇部「何で普通の充電器で想定してんの?! モバイルバッテリーでしょうよ、この場合! バッテリーを鞄に入れて、そんでケーブル伸ばしてスマホを使うんだよ!」
旦那「あ、そっか」
宇部「第一、普通の充電器だったら良夫さんその場から動けんよ? 背負った鞄ごとケーブルで繋がれた状態だよ!? ワンちゃんだよ!」
おああ、みたいな顔してましたけど。
何せモバイルバッテリーとか常日頃持ち歩きませんからね。
でもまぁ一応、やってみようか、ってことになりまして。
せっかくだから、とりあえず普通の充電器しかないけど、ケーブル通してみようぜ、ってなったわけです。モバイルバッテリーを買った時の予行演習ですよね。
そしたら――、
旦那「大変だ。この穴、type-Cのコネクタ通らない!」
宇部「な、ナンダッテー!! え? てことは?」
旦那「モバイルバッテリーも、無理、ってこと……」
だとしたらもう本格的にただのいらない穴なのです。
我々のスマホはどちらもtype-Cので充電するため、もう絶対に入らないのです。
旦那「大丈夫だよ。いつか俺が無線イヤホンをやめて有線イヤホンに戻せば済む話だ」
宇部「退化! せっかく無線に進化したのに!」
旦那「退化するんだ、俺」
まぁもちろんね、こうやって文字にしてますから、普通にやりとりしてるっぽく見えますけど、実際は私もう膝の力が抜けて床にへたり込むほど笑ってますから。
何この鞄。鞄のくせに面白すぎるんだよ。
もうお前だけでM-1出ろ。
あっ、ピン芸人だからR-1かな。
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