第882話 信じて良いの?

 夏といえばですよ。

 辛いもの、なんじゃないですか、皆さん?


 皆さん?

 とか言いましたけど、私は辛いものが大の苦手。

 カレーはギリギリ中辛も食べられるようになりましたけれども、それも、『食べられる』というだけで、辛いことには変わりません。大食いチャレンジの際にはどんなに辛くても水はあまり飲まない方が良いとか聞いたんですけど、私はがぶがぶ飲みますね。だって大食いチャレンジじゃありませんから。


 ただ、あのスパイシーな香りはですね、嫌いじゃないのです。食欲をそそるじゃないですか、あれ。


 なので、キムチ鍋なんかも匂いだけは好きなんですよ。食べられないだけで。

 あと、担々麺も実は大好きなんですよね。ただ、辛いでしょ、アレ。たまに全然辛くない担々麺がカップ麺であったりすると間違いなく買いますもん。


 そんなこんなで、あんまり辛ければ食べられないけれども、ピリ辛でももうちょっと辛くない感じだったら、担々麺とか、ペペロンチーノとか、アラビアータとかも大好きな私です。


 ピリ辛なんていうのはね、あんなの嘘ですから。この場合の『ピリ辛』っていうのは、あくまでも、ある程度辛いものを食べられる人間が「うん、これくらいなら辛くないかな?」って決めたやつだから。全然辛いから。もうほんと『ピリ辛』であるかどうかの判定は我々辛いものが苦手な人間にさせてくれ。世の中のピリ辛の大半は『から』だから!


 とまぁ、そんなことを叫んだわけですけれども、前述の通り、辛いものの匂いは好きですし、食べられる辛さならば食べたいとも思っている私です。特にあれね、スナック菓子とかね。良い匂いがするじゃないですか。


 旦那がね、晩酌のお供に食べてるんですよ。カラムーチョとか、そういうやつ。私は飲みませんし、その時間のお菓子はなるべく控えていることもあって我慢しているわけですが、ちっくしょー美味そうな匂いすんなぁーって。そしたら。


旦那「そういやさ。いま辛くないカラムーチョあるんだよ」

宇部「嘘だぁ。辛くなかったらカラムーチョじゃないじゃん」

旦那「いや、ほんとほんと。あるんだって。見たもん」

宇部「そうはいってもピリ辛とかじゃない? 良夫さんの言う『辛くない』は私にとっては辛いんだよ」


 なんて話をしてたらですね。その翌日。


旦那「松清子に良いもの買ってきたー!」

宇部「奇遇じゃん! 私も良夫さんに良いもの買ってきたー!」

旦那「ミニオンズの辛くないカラムーチョ!」

宇部「男気とか書いてるクッソ辛そうなわさビーフ!」


 なんかあれよね、全然違うけど賢者の贈り物の気分。全然違うけど。同じ日にお互いのために買ってきた、ってのがね。そこだけ。


 で。


 その男気わさビーフはめちゃくちゃ辛かったらしく、好評でした。

 さて、辛くないカラムーチョです。

 可愛いミニオンズのパッケージのやつ。ミニオンズが唐辛子を盗んでいったよ。だから辛くないんだよ、っていうコンセプトのようで。

 

 あの可愛いミニオンズ(映画見るまではそうでもなかったくせに映画見たらめちゃくちゃ可愛く見えてきた)達が唐辛子を盗んでしまったのならば、きっと辛くはないのでしょう。良いんだね? 君達を信じて良いんだね?


 まず信じるべきは買ってきた旦那なんじゃないのかとも思いましたが、とにもかくにも、私はですね、生まれて初めてカラムーチョを「試しに一口ちょうだい」ではなく、己の意思でもって開封し、そして取り皿にあけたのであります!


 いっきなり実況風の口調になりましたけど。

 いや、マジで辛くなかったです。普通に美味しかったですね。もしもの時の保険として取り皿に1/3くらいしか出さなかったのと、甘めのコーヒー用意したんですけど、全然楽勝でした。残りはまた今度食べよう。


 ただね、大変美味しかったんですけど、こうなると気になるのは、これ果たしてカラムーチョの味なのかな? ってところ。辛さを抜いたカラムーチョって、結局何味なんだろう。そんな大きな謎も残る結果となりました。

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