第842話 記念日ディナー後編

 さて、単なる『美味いもの食ったレポート』は続きます。


 あん肝の次は魚でした。


 スズキです。

 私も結婚してですね、彼に並ぶようなスーパーメジャー級の名字を手に入れましたから、ずっと親近感だけはあったんですけども、なかなか食卓には並ばないというか、私スーパーでも見たことないんですけど、これ普通に売ってる魚なんでしょうか。


 というわけでスズキでした。

 お魚も火さえ通っていれば食べられるのです。ところがここでまた問題が勃発したのです。


 かけられているソースでした。

 何か瓜っぽいものがいるなぁ、と思ったんですよ。いやまさかね。デザートじゃあるまいし、魚料理ですぞ? きっとあれだよ、冬瓜とか、そういうやつ。そうでしょ? そうだと言ってよ。


「こちら、オーブンで焼き目をつけたスズキにナンタラカンタラをどうたらして、メロンのソースをかけた――」


 ジーザス!

 やっぱりメロンだった!

 デザート以外にメロンを使うとか、シェフ! すごいなシェフ!!


 そう、私はメロンも大嫌い。

 もちろんアレルギーの類ではありませんが。


 けれどこれは食べるっきゃねぇやつ。何、そのメロンはどうやらまだ熟していない(?)やつらしいので、メロンの味はしないんだとか(それで良いのか?)。


 というわけでね、そちらもいただきましたとも。メロンも果物っぽい味じゃなくて、ほんとに瓜って感じでした。


 その後はパスタが二品。素麺みたいにめちゃくちゃ細いやつと、きしめんみたいな平べったいやつ。

 間に焼きたてのパンが来て、お肉が来て、最後にデザート、と。


 まぁ、素人の食レポなんてね、そんなに面白くないやつですから割愛しますけど。割愛するのかよ、ってね。


 いや私のぐだぐだ食レポよりも書いておきたいことがあって。


 自然界にある『黒い食べ物』って何だろな、って。ただ黒いだけじゃなくて、他の食材の色も黒くしちゃうような。

 だから、胡椒とか、黒胡麻とかそういうのじゃなくて。


 って話になったんですよ。出てきたパンが『竹炭と黒胡椒のパン』で。それがもう真っ黒で。こんなに黒いパンある? って話になって。自然界にこんな黒くなる食べものある? って。


旦那「もう炭かイカスミしかないんじゃない?」

宇部「結局『スミ』なんだ」

旦那「あとはほら、焦げるまで焼いてさぁ……」

宇部「結局『スミ』じゃねぇか!」


 我々夫婦の結論としては、『スミ』、ということになりましたね。


 どうなんでしょうね。他にもあるのかしら。あんこもかしら、って思ったんですけど、あれそこまで黒くないですしね。あっ、黒豆とか?


 とまぁそんなくだらない話を終始してましたね。ダーリン、11年間ありがとうね、愛してるわ、チュッ、とかはありません。主に「美味しい」「これ何て言ってたっけ」「子ども達、今日は実家でカレーだって」でした。


 そんなこんなでディナーは終わり、最後にエスプレッソが出てきたわけですが……。


 飲める!

 エスプレッソが飲める!!


 すげぇ、エスプレッソが飲める!


 やっぱりあの時のコース料理の量は多すぎたよな、うん、これが本当のコース料理なんだよな、って。

 

 だから最後まで書いて思ったのはですね、それくらいパンチが無いとエッセイネタとしては弱いな、って。


 じゃあ何で書いたんだ。

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