第840話 マイヒーロー

 数話前にね、誕生日なのに雨だわチョコミントのケーキはないわで散々だった、って話をね、書いたわけですけど。


 それの後日談をお届けしようかな、って。


 雨とチョコミントケーキの後日談って何ぞや、って思われたかもしれないんですけども、何ていうかですね、私、神様に見放されてなかったんだな、っていう。


 一昔前の言葉でいうところの、『持ってる』な、って。

 いまあんまり言わない気がします、持ってる、って。


 まぁもちろん、雨の方はどうにもならなかったんですけども、とにかくもう気持ちが沈んで沈んでですね。宇部さんはもう滅入っちゃうと気持ちの切り替えがド下手左ヱ門なものですから、もう旦那もたぶん相当焦ってたんですよ。


「ヤバい、松清子がこうなると長い! 俺がどうにかしないと!」


 恐らく、これくらいのことは考えていたはずです。


 けれどさすがに彼の愛の力を持ってしても雨は止まないわけです。明けない夜はないし、止まない雨もないけど、いまこの瞬間に止めるのはさすがに無理。


 それでもやはりケーキは買いに行かねばなりませんから。いいトコ(庶民基準)のディナーは土曜に行くことになりましたので、とりあえずその日(金曜)はケーキとお惣菜(だって誕生日に料理したくねぇ)を買いに行かねばならないのです。


 で、もうチョコミントケーキは販売終了している不○家も一応チェックしましたが、もう頭の中は「どうせチョコミントないしなぁ」ばかり。「よ、よーし、別のお店行ってみようか!」と旦那も必死です。こんなに良い人が、なぜ私みたいなのに捕まってしまったんだ。前世で人でも殺したんか。


 で、数件はしごするも、時間も時間のためそもそもケーキ自体がそんなに残っていないという。個人経営のケーキ屋さん、6時とかでフツーに閉まるんですよ。


 だったらもうここに賭けるしかねぇ!

 コー○ーコーナーだ!


 とイ○ンの中に入ってるコージー○ーナーに突撃! すると――


宇部「あれ? あの緑のもしかして……」

旦那「ミント? チョコミントじゃない?!」


 抹茶系とは明らかに違う系の緑! チョコミントのショートケーキがあったのです。何、いまブームなの?


旦那「よ、良かった……。ここまで来て本当に良かった……。ちょ、チョコミントあった……。涙出てきた、俺……」

宇部「えぇっ!?」


 もちろん号泣ではないんですけど、ほんとにじわっとしてました。チョコミントのケーキを見つけて涙浮かべる大人、初めて見ました。どれだけホッとしたんだ。私はどれだけ彼を追い詰めていたんだ。マジですまん。

 もうね、ホームランでしたよね。ありがとうコージー〇ーナー。


 そんな感じでホクホクだったんですが、ここでさらにホームランがあったわけですよ。一試合に二回もホームラン出したらそれはもう逆転する感じでしょ?(野球のこと全然わからないけど、とにかくホームランさえ出しとけば勝てると思ってる)


 数日前、いや数日っていうか、もう一ヶ月くらい前にAmaz○nさんでTシャツをポチったんですよ。ずっと欲しかったんですけど、通販で服を買うってサイズとか難しいじゃないですか。しかもそれ海外のやつで、さらにメンズのなんですよ。

 それで実は去年からずっと、Sか? いや、Mか? なんて悩んで購入を見送ってたんですよね。


 で、痩せたし、メンズのだし、Sでもイケるでしょ! 自分への誕生日プレゼントに買っちゃえ! って。


 で、何せ海外から送られてくるやつなので、さすがのAmaz○nでも二日三日じゃ届かなくてですね。5/31〜6/13の間にお届けします、って。まぁ、夏までに間に合えば良いやー、ってのんびり構えてたんですよ。


 そ れ が


 来た。

 偶然にもこの私の誕生日に!

 雨だわチョコミントのケーキがないわ(あったけど)で散々やられていたところに、颯爽と現れたんですわ。おいおい、ヒーローかよってね。いや、ヒーローは既に隣にいるんですけども。二人目のヒーローの登場ですよ。


 もーほんとね、ジェイソンさんわかってるな、って。そういうところがあるから、彼って愛されてるんだな、って。


 そう、私が買ったのはジェイソンさん(と他にもホラー映画のスターがプリントされた)のTシャツだったのです。


 今年の13日の金曜日は8月だったので、これを着て13日の金曜日祭するぞー! って。そのためのTシャツでした。


 というわけで、二人の男性ヒーローに支えられ、最終的にはすげぇ元気出た誕生日になったとさ。


 めでたしめでたし。

 

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