第806話 スイッチオン!

 毎週日曜日はTSUTAYAでDVDを借りる日となっております。私は借りません。仕事だからです。


 ここでも何かしらのクイズ大会が開催されることがあります。といっても出題されるのは、


「今日は、何を借りてきたでしょうかっ!?」


 この一問のみ。それも大抵の場合娘から。彼女はもう自分についてありとあらゆる興味をもってもらいたいのです。ヤンデレ彼女かよ。


 正直、「知るかぁっ!」「ノーヒントでわかるかぁっ!」の2種類の答えしかないんですけども、もちろんここでもオスカー女優張りの演技が求められておりますんでね。あれ、もしかして私って女優だったっけ? うん、女優だったかもしれない。そんなわけはねぇ。


 ただ今回はですね、なんと出題者は旦那だったのです!


旦那「ねぇねぇ今日さ、息子君、何借りたと思う?」


 もちろん出題者が愛しのダーリンだとしても私の答えは変わりません。


「知るかぁっ!」or「ノーヒントでわかるかぁっ!」


 ですが、相手が子ども達じゃないわけですから、もう演技する必要はございませんのでね。


宇部「わからん。ヒント頂戴よ。あっ、でもあれでしょ、昭和でしょ?」


 もうここはね、わかりますから。もし平成や令和の作品だったら絶対に出題してませんから。昭和だからこその出題ですから。


旦那「うん、昭和昭和」

宇部「特撮?」

旦那「そうそう。でもね、ライダーとかウルトラマンとか戦隊じゃない」

宇部「何?! じゃあ宇宙刑事系?」

旦那「宇宙刑事系じゃない」

宇部「超神ネイガー(秋田のご当地ヒーロー)とか竜神マブヤー?」

旦那「あれ平成じゃん」

宇部「そうだった……。あっ、じゃあ、ゴジラとかガメラとか?」

旦那「怪獣系じゃない。えっと、人型? 人型のやつ」

宇部「人型……? 大魔神……?」

旦那「そっちいったかー。でかくない」

宇部「でかくないか……。いや、もう降参だわ。何?」


 もうね、情けない話ですよ。こんなあっさり白旗を上げてしまうとかね。

 答えを聞いてからよくよく考えたらですよ、月光仮面とか、レインボーマンとか、兄弟拳バイクロッサーとか、怪傑ライオン丸とかあったはずなんですよ。それがTSUTAYAにあるかは置いといて。常日頃昭和の特撮が好きだとかほざいておきながらこの体たらく。こんなのでよく旦那から愛想尽かされませんて。


 さて、あっさりと白旗を上げてしまったファッション昭和特撮好きの妻にも安定の優しさを見せてくれる旦那からの正解発表です。


旦那「キカイダーでしたー!」

宇部「ちくしょう! それがあったか!!」


 ていうかいままで借りてなかったのか!

 こないだ一年生をお迎えする会で鬼の塗り絵をキカイダー風に塗ってたからてっきり既に借りてるものだと。

 まぁ彼の場合、文献の方から入るタイプというかね。まずそこから入るから。


 というわけでキカイダーを借りて来ましてですね、ママが帰宅するまでに相当見たんでしょうね、旦那が息子に言うわけです。


旦那「息子君、ママに聞かせてやりなよ」

息子「え~? どうしようかなぁ~?」


 えっ、何何? 何聞かせてくれるの?!


旦那「まぁまぁそう言わずにさぁ。……スイッチー?」

息子「オーン! ワン、ツー、スリー! でぇ~んりゅう~ぅひ~ば~なが~からだをはし~るぅ~♪」


 普通にフルコーラス(といってもテレビサイズ)歌い切りましたわ。


 ジロー、チェンジー、じゃねぇわ。

 めっちゃ見てんなお前。

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