第791話 しゃもじ一つで疑われる
我が家の炊飯器にはしゃもじを差すところがありません。いまの炊飯器ってそうなのかしら。前の炊飯器にはあったんですよ。付属のしゃもじを差せるホルダーみたいなのが。
しゃもじは付属してたんですけどね。
そんなわけで、しばらくの間はよそう前のお茶碗の中に入れてたりしたんですが、全員分よそってしまうと置くところがないわけです。別にお皿を出しても良いんですけどね、そしたらほら洗い物が増えますし。洗うのは旦那ですけど。増やさないのが私の愛だ。
旦那の実家スタイルで炊飯器の中に入れてみたりもしたんですが、当然のようにアッチアチになりますし、何かしゃもじの成分が溶け出しそうで怖くて。
そこで、みんな大好き百均で、立つしゃもじを買ったんですね。
いやー、侮れねぇ、百均。とんでもねぇアイディアマンいるな。しゃもじを立たせるとか普通考えつきませんて。
持ち手の部分が大きくて重たいので最初は何か変な感じがしましたし、調理器具立て(菜箸とかヘラとかよく使うやつを入れてる)に入らないので、この子だけ一匹狼状態なんですけど、いや、とにかく便利。
それでですよ、朝、みんなの分のご飯をよそって、ご飯を食べ、お釜に残ったご飯を一部冷凍、一部お昼のおにぎりにしようと台所に向かいますと、いつものところにしゃもじがいねぇ。
何かその日に限って、洗い桶の中にinさせてしまってたんですね。まだ使うのに。疲れてたのかしら。
なぁんてことをまぁ笑い話的な感じで(「やだー、ママったらしゃもじ洗い桶に入れてたーウフフー」みたいな)しゃべっていたらですよ、カウンターの向こう側でご飯を食べていた息子が言うわけですね。
息子「しゃもじが洗い桶の中だって……? ママがそんなミスをするわけがない……」
宇部「息子?」
旦那「おい、何か始まったぞ」
もう完全に芝居口調なんですよ。
息子「もしかしてあのママは宇宙人が化けたニセモノ……!?」
マジかよ。ニセモノが作った料理食べてるけど大丈夫かお前。
宇部「ママ、ニセモノだったんか。何星人なの?」
息子「えーっとねぇ」
もう完全にウルトラセブンなんですよ。ウルトラセブンの影響なんですよ。
宇部「ワイアール星人?(ウルトラセブン第2話より)」
息子「そう、ワイアール星人! ママはワイアール星人だったんだー!!」
宇部「オーケーわかった。とっとと食え! 学校だ!!」
ちなみにワイアール星人は、モッサモサの海藻みたいなやつです。えー、ママどうせならイカルス星人(お耳がピコピコ動いて最高に可愛い青いやつ)とかガッツ星人(ピエロみたいな顔したひよこのような頭の白いやつ)とかメトロン星人(魚釣りのルアーみたいに派手な感じでウルトラセブンとちゃぶ台を囲むやつ)が良いなぁ。
そんな中、娘は何とかこの茶番の間に食べてしまおうと必死ですよ。いつも兄より遅くて急かされるので、彼の箸が止まっているいまがチャンスとばかりにもぐもぐタイムですよ。
まぁ結局巻き返した息子に負けるんですけどね。頑張れ娘。ワイアール星人が作った料理をもりもりと食え。
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