第687話 映画を撮りたい

 すーぐ影響を受けちゃうことに定評のある我が子達です。ていうか、たぶん、子どもってそういうものですよね。


 大晦日のドラえもん特番を録画しておいたのですが、どうやらその中に映画を撮る、みたいなお話があったみたいでですね、そしたらもうわかりますよね、皆さん。何せ今回のタイトル『映画を撮りたい』ですから。息子がね、言い出すわけです。


「ぼくも映画撮りたい!」


 まったくこの子は。

 どこに向かってるんだお前。

 

「ぼく、監督やる! 台本書く!」


 私、映画のことはよくわからないんですけど、台本って監督さんが書いてるものなんですかね。脚本家さんが書いてるものだと思ってましたが。ああでも三谷幸喜監督は脚本も書いてましたっけ。それは良いです。


 旦那とね、洗濯を干しながら(冬場は加湿目的で居間に干す)ニヤニヤですよ。


宇部「監督だって」

旦那「あの監督なら、小道具も全部自分で作るべな」

宇部「間違いないわ」


 そんな会話をしておりますと、もちろん黙っちゃいられないのが我が家のアイドル娘ちゃんですよ。


娘「にいに! 私は何の役?!」


 女優枠のようです。裏方に回る気はありません。


息子「妹ちゃんはねぇ、○○の役!」

娘「わかった! ○○……のお母さんね!」


 もう早速監督の言うことを聞きません。存在しない○○のお母さん役をやると言い出しました。監督の言うことを聞かないタイプの大女優のようです。年齢的には新人女優だと思うんですけど、既に大物の風格。息子監督も「えぇ~」とか言いつつ、最終的には「仕方ないなぁ」です。のび太君を甘やかす時のドラえもんです。


娘「じゃあ、パパの役は?」


 そんな二人のやりとりを微笑ましくというか、笑いをこらえて見守っておりますと、流れ弾です。我が家はいつだって『明日は我が身』、油断は出来ません。


息子「パパはねぇ、『あっ、あれは何だ?!』って言う人!」


 村人Aです。

 与えれらた台詞は「あっ、あれは何だ?!」のみ。名前ももらえるかギリギリのところ! 我々の腹筋は限界です。


宇部「ちょ……! 完全に村人Aじゃん……!! 『ここは○○の村だよ』レベルのやつじゃん……!」

旦那「逆に美味しすぎる……!! もう俺、この台詞一本で息子あいつのすべての映画に出るわ……!!」

宇部「もう芸名『南田なんだ』とかにしようよ」

旦那「南田……!! もう俺、ハリウッド行くわ……!! Mr.ナンダとして!!」

宇部「南田さんが出る=絶対に『あれは何だ?』的展開があるってバレる……!!」


 こんなくだらないことでゲラゲラ笑っている馬鹿な大人を無視して、監督君と大女優ちゃんは映画作りに真剣です。そして、あっ、忘れてた、とでも言わんばかりに、「ママはどうする?」と娘ちゃん。いや、もう良いよ。ママはもうお腹いっぱいだから、お客さんで良いよ。試写会に呼んでくれ。


息子「ママはオープニングをお願いする」


 オープニング?


 映画のオープニングって何?!

 あれ? ライオンがガァーッってやるやつ? あれが私? それとも、岩浜に波がザッパーンってなるやつ? それ人間に出来るやつかな?

 それとも何? 前座!? 上映前に場を温めとけ、的な?!


 まさかの配役に驚きを隠せません。

 

 そんで、どんな映画をやるのかと思ったら、スペクトルマンでした。オリジナルじゃねぇのかよ! 

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