第656話 ご家庭の隠語

 こないだYahoo!の記事で、その家庭にある『隠語』の話を読んだんですよ。


 特に小さいお子さんがいるご家庭だとわかっていただけると思うんですけど、その単語をズバリ言っちゃうとアウトみたいな局面って結構あるんですね。どういうことかというと、わかりやすいのが食べ物関係。宇部家の会話で例をあげますと、


~皆でお休みの日、県庁所在地のイオンに向かう車の中~


宇部「今日のお昼ご飯何にしようか」

旦那「そうだなぁ、マックとかも良いけど、子ども達も大きくなったし、せっかくだからレストランのさぁ……」

宇部「あっ、ダメ、マックとか言ったら――」

子ども達「マックがいい!」「マックのハッピーセット!」


 っていう。

 もうね、マックって言ったらアウトなんですよ。もう選択肢がマックひとつになっちゃう。なので、例えば『Mの店』『幸せなアレ(ハッピーセット)』のような隠語を使うわけですよ。


 という記事を読んで思い出したのが、まぁ別に隠語というわけではないんですけど、その家その家に、『なぜかそう呼んでいるもの』ってあるよな、っていう。


 とあるご家庭では、マーガリンのことをバターと呼んだりしているそうですし、

 旦那の実家では一時(?)、麦茶のことをなぜかウーロン茶と呼んでいたりもしましたし。とにかくまぁそんな話なんですけど、宇部家では、一時、お菓子のことを『二軍』と呼んでいました。


 それがですね、まだ夫婦二人だった時の事、住んでいたのはまぁ当然そんなに大きくはないアパート(社宅)でして、あんまり大きな棚とか置けなかったんですよ。本棚はどうしても必要だったので(二人分の漫画が割と尋常じゃない)、本棚分のスペースは死守しましたが、台所関係が微妙でした。食器棚もとりあえず置いたものの、それ以外の、例えば調理器具ですとか、乾物のストックですとか、そういうのの保管場所もかなりギリギリだったものですから、そうなると何が犠牲になるって、ゴミ箱ですよ。


 そんなわけで3つの箱が縦に並んだゴミ箱を買ったんですよ。これなら省スペースで三種類のゴミが捨てられる! っていう。


 で、時は流れ、ちょっと広めのお部屋に引っ越しますと、今度はそれが逆に不便というか、なんというか。いや、便利なんですよ? だけど、小さいんですよ。ウチの地区、資源ごみ系の回収が隔週なもので、もうパンパンなんですわ。ええい、もっとデカいのに入れさせろや! というわけで。


 で、あっという間に出番がなくなったのですが、かといって捨てるのはもったいない。大きいし。


 よし、それじゃあ何か別なものを入れよう、ということで、中をきれいにして消耗品関係のストックを入れたりしていたんですけど、いつの間にやらそこにお菓子を入れるようになりまして。おい、それ元はゴミ箱だぞ?! 気にしないのがO型の私。いや、旦那はA型なんですけど。

 すぐ食べる系のお菓子はまた別のところにしまっていたものですから、そこに入るのは安いからとりあえず買っておいたけど、まぁ、食べるのは後でで良いよね的なやつ。


 つまり二軍!


 それがいつの間にやら買い置きのお菓子全般を指す言葉になったんですよね。「あっ、二軍買っとかなくちゃ」「今日の二軍何あったっけ?」とか。


 しかしこれも不思議なもので、いまではまったく使われなくなりました。いま思えば、たぶん、宇部家の流行語か何かだったんだろうな、と。

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