第632話 好きなんじゃないの?
いま、鬼滅の刃ブームがすごいみたいですね。
みたいですね、って表現からもわかる通り、私は全然その波に乗れておりません。とりあえず、例の緑と黒の市松ですとか、ピンク色の麻の葉の布は手に入れまして、それで子ども達のマスクやら何やらは作りましたが、肝心の内容についてはなーんにも知らないわけです。
たぶん見れば私のことですからあっという間にハマっちゃうんだと思うんですけど、なんかここまで周りが騒ぐとですね、逆にちょっと冷めちゃうんですよね。娘が禰豆子ちゃんが可愛いだのしのぶさんがどうだのと言うので、パッケージにそういうのが描かれたお菓子とかはつい買っちゃったり、そのしのぶさんとやらの生地はないものかと夜な夜な検索してたりするんですが、ここまで来るともうブームが去るまで本編には手を出さねぇぞ畜生みたいな、よくわからない拗らせ方をしております。
さて、話はですね、昨日の続きみたいな感じになるわけなんですけど、そう、車を走らせて(旦那が)イオンに到着しましてですね、特に目的なんてないんですけど、たまにはパーッと遊ばせてやりましょ、っていう感じでゲームコーナーとか行ったりして。私はちょろっと自由時間をいただきまして、お洋服を見に行ったり、手芸屋さんに行ったりして。そうそう、そこでも鬼滅コーナー出来てましたね。メーター切り売りの生地とか。そこにもしのぶさんの柄の布はなかったですね。ううむ、やはりネットで買うしかないのか。
ってさんざん鬼滅鬼滅って入力してるんですけど、ウチのパソ子ちゃん、『鬼滅』って一発変換出来ねぇでやんの。やはり飼い主に似るのか。断固としてブームには乗らない構えなのか!? それは別に良いけどそろそろお前『令和』も覚えろ! ちょっと気を抜くとすーぐ『例話』になりやがって! 私に何の例え話をさせる気なんだ! その例え話の方が盛り上がっちゃってメインを食うんだからやめろ!(自覚あり)
そんでまぁそのゲームコーナーにですね、常に鬼滅の映画の予告編を流しているモニターが設置されてたんですね。そこのイオンには映画館があるので、ばんばん宣伝してるわけです。ウチの子たち、本屋さんとかにあるアニメのモニターとかも結構ガン見するタイプなもので、例に漏れず、そこのモニターにも釘付けだったわけです。ただでさえ普段から鬼滅鬼滅とうるさい娘ちゃんは、それを発見するや否や「あー、きめつのやいばー!」ってウキウキで近寄ってですね。
いくら興味がないとはいえ、子ども達が見ているわけですから、私もその場を離れるわけにはいきません。「えっと、この人良い人? 悪い人?」と旦那に聞いたりしながら、「あっ、この柄、ネットでよく見るやつ。こんな人が着てるのかー」とキャラではなく着ている服の柄に注目しておりますと、何か娘が小走りでこちらへ戻って来たんですね。そして、我々の後ろにサッと隠れたわけです。明らかに表情がこわばっております。
旦那「娘ちゃんどした?」
宇部「どうしたの娘ちゃん、大好きな鬼滅の刃だよ?」
しかし娘ちゃんはうんともすんとも言いません。
……もしかして怖いのかな?
ちょっと怖かったの? と聞くと、小さく頷く娘。
えっ、お前いままで鬼滅の何を見てたの? むしろ見てなかったの? お前の知ってる鬼滅って何?!
旦那の話ですと、小学校の学童保育なんかではアニメを普通に流してたりするらしいので、てっきり保育園でもそんな感じなのかなと思っていたのですが、よくよく考えたらそんな小さい子に人(人? 鬼?)がばんばん死ぬようなアニメ見せるわけがないんですよね。だからもう純粋に娘の知っている鬼滅の刃というのは、可愛い女の子(髪が長くて竹を咥えてて、ピンクの着物が可愛い)と恰好良いお兄ちゃんが出て来るアニメ、みたいな認識だったんでしょうね。あとOP曲が恰好良いとかそんな感じなんでしょう。
この手のアニメって難しいですね、人が死んだりするやつって一体何歳くらいから見せられるものなんでしょう。いや、保育園児でも見てる子はいるみたいですが、どうやら娘にはまだ刺激が強かったようです。
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