第585話 そういう宗教的な
昔はなかったのか、それとも北海道だけなかったのか、それとも秋田だけがあるのか、その辺はよくわからないんですけども、息子は毎日音読をしています。学校の毎日の宿題のひとつなのです。
音読用のカードがあって、そこにカレンダーと詩が書いてあるわけです。読んだら日付のところに親がチェックを入れるという。
その詩は、有名なやつなのかはわからないんですけど、とりあえず私は聞いたことなくて、アナウンサーの方がやるような『あめんぼ赤いなあいうえお』とかそういう感じじゃないやつです。まぁ、私の知ってる詩なんて谷川俊太郎さんとか、相田みつをさんとかそういう超メジャーなやつくらいですからね。
それが月ごとに変わるんですけど、今回のが、まぁ、牛乳にまつわる詩なんですよね。もしかしたら同じ学校の人がこのエッセイを読んでるかもしれないので、微妙に濁しときます。とにかくまぁ牛乳にまつわるやつ、ということでね。
で、息子はですね、私に似てしまったがために、ちょっと滑舌が悪いんですね。あと、まぁ言葉を話すのが遅かったからなのか、未だにおしゃべりはちょっと苦手ですね。まだまだ練習中ということなんでしょう。ただ、一生懸命読みますんでね、毎日続けることで良くなっていくと思われます。
この音読の目的っていまいちわからないんですよ。何せ私はそういうのを全くやってこなかったんですが、それでも国語の成績は良かったしなぁ、とも思うわけです。でも、学校からやりましょう、って言われてることだし、秋田県て学力高いし、きっと何かしらに効果があるのだろう、と。
というわけで、その牛乳の詩なんですけども。
途中、『神様がお作りになった』っていう箇所があるんですね。まぁ、要は、牛乳っていうのは、神様が作ったんだぜ、っていうね。えっ、作ったのは母牛でしょ? というのはまぁ置いといて。だってほら、牛もね、神様が作ったわけですから。神様が作った牛が作った牛乳なわけですから、つまりは牛乳も神様が作ったって話になるわけです。でしょ? そうでしょう?
ただ、息子はここが弱いわけです。
お作りになった、の『お作り』部分があのお刺身の『お造り』になっちゃう。というわけで、ここでは発音の違いを『お作り』と『お造り』で表現したいと思います。
息子「神様がお造りになった」
宇部「違う。『お作り』だよ、息子君(神様がお造りになったら偉いことだぞ)」
息子「神様が、おー造ーり、になった」
宇部「ゆっくり丁寧に言えたけど違うなー! 息子君、まず『お作り』だけ言ってみようか」
息子「お作り」
宇部「良いね! いまの良いね! もう一回! 『お作り』」
息子「お作り!」
宇部「ナイス! 神様がお作りに?」
息子「神様がお造りに」
宇部「ああ、戻った! ワンモア! 『お作り』!」
息子「お作り!」
宇部「神様がお作りに?」
息子「神様がお作りに!」
宇部「OK! 念のためもういっちょ! 神様がお作りに?」
息子「神様がお作りに!」
宇部「神様が!」
息子「神様が!」
宇部「お作りに!」
息子「お作りに!」
ふと我に返ってね。
あー、窓開いてんだよなぁー、って。
窓開いてんのにちょっと白熱しちゃったなぁー、って。
完全にライブのあれでしたもん。コール&レスポンスでしたもん。
危うくセンキュートーキョーとか言うところでしたもん。
いや、大丈夫?
ここン家何か謎の宗教やってると思われてないかしら。
こんなボリュームでこんなに神様神様って掛け合いしないでしょ、普通。
なんかどうしてもこんがらがっちゃうみたいで、うまく読める日もあるんですけど、かなりの確率で『お造り』になりますね。神様申し訳ありません、何度もお造りにしちゃって本当にごめんなさい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます