第510話 高く

 えっ、これって方言なの? 何なの? ってお話なんですよ、今日は。


 ずーっと同じところに住んでいる方はもしかしたらあまり体験しないやつかもしれないんですけど、例えば大学だったり就職だったりで、他県の方と関わることってあったりするじゃないですか。


 私の場合、大学は札幌だったんですけども、一番仲の良かった友達は青森県出身でした。それでもテレビで見るようにめちゃくちゃ訛っているとか、あの、なんて言うんですかね、「〇▲※×♨」みたいな感じではなかったです。ただ、単語のイントネーションがちょっと違うかな、って程度。私だってバリバリに北海道(しかも浜の方)の訛りがありますんでね、たぶんお互いに訛ってたから相殺されてたんじゃないかなって。

 

 それから、徳島、愛知、高知の人もいましたね。だけど皆さんやっぱりそこまで訛ってないんですよ。「ちょっとお国の言葉でしゃべってみて」ってリクエストして初めてしゃべってくれる感じでした。徳島の子の「~やけん」は可愛かったですね。


 社会人になって、特に秋田コッチに来てからは、さらに津々浦々でしたね。最初の上司は宮崎の人でしたし、その次は宮城の人でしたし。どこ出身だったかは忘れたんですけど、インド帰りの修行僧みたいな先輩もいましたしね(このエッセイのどこかで書いたはず)。


 で、色んな県の方と関わってみて気付くのは、やはり、


「えっ、これって方言だったの?」ってやつと、

「うん? それどういう意味?」ってやつです。


 お互いに、ずっと標準語だと思ってしゃべってたやつが方言だった、ってわけです。同じところにずーっと住んでたら気付かなかったんでしょうけども、これがまぁ通じない通じない。

 

 ただですね、逆に「これはさすがに方言だろ」って思ったやつが、実は標準語(ただしあまり使われていないっぽい)というパターンもあったりするわけです。ここでも書きましたけど、柿の渋を抜くやつですね。『さわす』って。


 奥が深いなぁ、と思うわけですよ。


 それでですね、秋田に住んで、これまたずーっと疑問なやつがあるんですよ。でもこれが果たして方言なのか、それとも、北海道(あるいはウチの地元)では言わないだけなのか、もしくは標準語なのかわからないんです。


 音の大きさについてなんですけど。

 例えばテレビの音量を上げることなんかを、「ちょっと音高くして」って言います? 私、いままでこんな表現したことないんですよね。


 ちなみに私が最初にこの『音を大きくする→音を高くする』に出会ったのは、中学生の古典の学習教材の中でなんですよ。といっても、見たのは社会人になってからなんですけども。


 内容としては、商人が品物を売りに来て、それを買おうとするんですけど、その値段があまりにも安すぎたので(だったかな?)、「店主よ、もっと(値段を)高く言え」と言ったら、その商人が大声を張り上げた、という笑い話でした。値段を高くしろ、と言ったつもりが、声を高く(大きく)してしまった、というのがまぁ笑うポイントだったんですけど、成る程、昔は音量を上げることを『高くする』と表現してたんだな、ってそう解釈したわけです。


 そしたら秋田に来て、義父母も旦那も「テレビの音高くして(あるいは「低くして」もある)」って言うんですよ。いやカラオケじゃあるまいし、じゃなくて。えっ、これ古のやつじゃないの!? 秋田では生きてるやつなの?! って。でも旦那は方言じゃないと思うって言うし……。


 とにかく謎なんです。

 いまでは子ども達も普通に「高く(低く)してー」って言うようになったんですが、私はどうしてもキーの高低のように思えてしまって違和感が半端ないです。


 これ、皆さんのお住まいの地域では言います?

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