第415話 背負う
春夏秋冬 朝昼晩 花咲けぱっかん 開花!
この呪文、何かわかります?
これ、小さいお子さんがいる方は聞いたことがあるやつなんじゃないかなって思うんですけど。
あきやまただし先生の絵本作品『はなかっぱ』です。アニメにもなってます。
知らない方のために少々ご説明いたしますと、頭頂部から花を咲かせることが出来る『はなかっぱ』という種族がおりまして、それがやまびこ村というところで、しゃべるてるてる坊主やカバなのか恐竜なのかよくわからない(基本的に動物キャラはよくわからない感じの造形)村人達と、色んな花を咲かせつつ楽しい毎日を送っている、みたいな感じです。まぁ、ストーリーとかは良いんです。とにかくほのぼの可愛いのです。
そして、その主人公である『はなかっぱ』君が頭の花を咲かせる際に、上記の呪文を踊りながら歌うわけです。
とはいえ、まだまだ(たぶん)小学生の男の子、知ってる花なら一応咲かせられるのですが、焦っている時などは、苺(調理実習で必要だった)を咲かせるつもりが、かぼちゃしか咲かせられなかったりもするわけです。実が生る系のやつはちゃんと実も生ります。バナナも出てきましたから。
で、私、常日頃疑問に思ってたんですけどね。
このはなかっぱ君、名前が『はなかっぱ』なんですよ。同じはなかっぱ一族の女の子は『ももかっぱ』ちゃんっていうんですよ。それで、父母祖父母がいるわけなんですけど、皆さんちゃんと名前があるんですよ。
お父さんは頭に向日葵が咲いている『ひまごろう』さん。
お母さんは頭にタンポポが咲いている『ポッポリーヌ』さん。
おじいちゃんは頭に蓮が咲いている『はす次郎』さん。
おばあちゃんは頭にかすみが咲いている『かすみ』さん。
どうやら、大人になると決まった花しか咲かせられないらしく、はなかっぱ君の頭に咲いているのは『とりあえずの花』、というものらしいです。ちなみに、ももかっぱちゃんの頭に咲いているのもその花です。
はなかっぱ君、種族名を背負ってるんですよ。
大人になると決まった花しか――という部分で、「ああ成る程、じゃあ大人になったらその花にちなんだ名前をつけられるのか」とも思ったんですが、それじゃあ『ももかっぱ』ちゃんは何よ、という話になるわけで。
普通我が子に種族名つけます?
いや、これ、ウルトラマンにも言えることじゃないですか。
彼、種族名背負ってますからね。
帰ってきたウルトラマンも、最初は難易度★★★★☆レベルの間違い探し的風貌から『ウルトラマン』とか呼ばれてましたけど、後に『ジャック』とかつけられてましたしね。ちなみにタロウでは『新マン』とか呼ばれてましたけど、そんなこと言ったらウルトラマンは『旧マン』なのかよ、って思ったり。まぁそこは今回は良いです。
いやいや、彼は『マン』って呼ばれてるから、って思うかもしれませんけどね。それって私が『人間』って呼ばれてて、あだ名が『ゲンちゃん』っていうのと同じことでしょ。いやいや、弟にジャックって付けたんだから、『トム』とか『マイケル』でも良いから、付けてあげなさいよ。
でもね、やはり種族名を背負うだけあってはなかっぱ君は主役ですしね。映画なんかも作られちゃうわけです。これが案外泣かせるやつでねぇぇぇ。
だから、もし今後どこかで『人間』って名前の赤ちゃんが現れたら、もうその子が我々の世界の主役ってことになりますよね。これは映画化待ったなし。
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