第361話 未だ健在でした。
以前にも書いたと思いますが、ウチの子達はまぁまぁお年寄りキラーなわけです。『お年寄りキラー』とここでは言葉を選んでおりますけども、旦那と話す際には『
さて、娘は娘で行きつけのスーパーにお気に入りのお婆ちゃん店員がおりまして。元々は
お向かいに住んでるお婆ちゃんからは、会う度にお菓子をいただいたり、今度お茶を飲みに来てとお誘いを受けたり。そしてその『お茶』がちょっとお菓子でもつまみつつ談笑的な『お茶』ではなく、お抹茶と和菓子の方のちょっとガチな『お茶』だったりして戦慄を覚えたものです。えっ、和服?! こちらもお着物で臨むべきでしたか?!(どうやらお茶の先生だった模様)
さて、一体誰に似たのか道行くお婆ちゃん達に愛想を振りまきまくる我が子達なんですけれども、『元祖・Bキラー』こと息子はもう小学生。おてて繋いでお散歩よりも、お家でテレビ見たり絵を描いたりしたいお年頃なものですから、昔よりもナンパの頻度が減ったわけです。成る程、こうして息子はどんどん『幼児』から『少年』になっていくのね、と。そんなことをね、しみじみと感じたりして。そのうちいっちょ前にヘアスタイルとか気にし始めたり、女の子にちょっかい出されたら恥ずかしがったりするのかな、なんて考えてニヤニヤしたりしてですね。
そんな感じで大きくなっていくんだろうな、なんて思っていたある日のことです。
子どもっていうのは、だいたい似てほしくないところばかり似るものでして、ウチの息子、私に似て鼻炎持ちなんです。ただ、私の場合は季節の変わり目に詰まる程度なんですけど、息子はというと割と年がら年中詰まり気味。調子が良い時もあるんですけどね。もしかしたら私も成長するにつれてマシになったのかもしれないんですけど。まぁとにかく、お鼻が詰まって詰まって可哀相なので、旦那に耳鼻科へ連れて行ってもらったんです。そして、たっぷり一ヶ月分のお薬と共にまたもとっておきのエピソードを持ち帰ってきたわけですね。
旦那「今日病院でさ、待合室のベンチに座ってたんだけど、そのお隣がお婆ちゃんだったんだよね」
そう切り出すわけです。
こっちとしては「ははーん、大方、また息子が積極的に話しかけたとか、もしくは向こうから『可愛いわね~、いくつ~?』のパターンだろうな」って容易に想像がつくわけです。ここ最近、その手の話から遠ざかっていたとはいえ、何せそもそもがお年寄り大好きな子。周りにいるお年寄りがすべて自分と妹に対して良くしてくれるので、お年寄りは皆優しくて良い人達だと思っている節がありますから。まぁ、そんな感じで見知らぬお婆ちゃんと交流してきたって話だろうな、と。
甘かった。
いつだって子どもってやつは親の予想を超えてくるんですよ。
旦那「何か、いきなりそのお婆ちゃんの手をつんつんって突いたり、さすったりし始めて」
宇部「!!?」
突然のボディタッチ! これは完全にナンパ!! しかもこれはイケメンか子ども、あるいは動物にしか許されないやつ! よし、ギリセーフ!
じゃなくて!
旦那「そしたらそのお婆ちゃんもニコニコしながら息子の手をつんつんし返したりして」
宇部「何そのハートウォーミングなやつ」
もちろん旦那は「すみません!」ですよ。そのお婆ちゃんは快くつんつんしてくださったみたいですけども。
もうここまで来ると怖い。我が息子が怖い。
本当にそこは誰に似たの?!
いやもう、Bキラーは未だ健在だったな、っていう。
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