第351話 節分レポート
そういや節分のこと書いてないな、って思いましてね。いえ、『節分について』は書いたんですけど、『節分後』のことを書いてなかったな、って。
とはいえ息子は、小学校では豆まきをしなかったらしく、落花生の入った手作りの封筒を持って帰ってきただけなんですけど。あぁ、あと鬼の絵は描いたみたいです。
私の小学校では、体育館に集まって先生達が扮する鬼に豆をぶつけたような、そんな記憶があるんですが、小学校ってやらないんですね。
そうなりますと、我が家の面白節分エピソードは保育園に一任されてしまうわけです。先日も書きました通り、ガチのやつが――厳密には違うやつなんですけど――来るもんですから。
1月後半から園でせっせせっせと豆を入れるバッグやら鬼のパンツやらを製作してきた娘ちゃんは、もうやる気まんまんでして、前週金曜の夜から、
「わたし、おにさんこわくないから!」
と頼もしい発言。
お前去年もそんな感じだったけどな、と親達は生暖かい目でそれを見守ります。
そして、ついにその日はやって来ました。
一応、朝にも確認はしたんですよ。
「娘ちゃん、鬼さんは大丈夫?」
「だいじょうぶ!」
頼もしい限りです。まんまるほっぺも自信に満ちてふくふくです。
その笑顔もあと数時間だけどな! なんて親は酷いことを思っているわけです。
まぁそれでもわからないじゃないですか。奇跡が起こるかもしれないわけです。なまはげの面が割れてしまって修理に出してるとか、あとそもそも娘が『なまはげ耐性2』とかのスキルを会得している可能性もあるわけです。
頑張れ、娘。
と心の中でエールを送りつつ、母は小学校へ読み聞かせに行きました。
で。
娘と息子がパパと共に帰宅するわけです。
「お帰り。娘ちゃん、どうだった?」と旦那に聞きますと、にやりと笑うわけですね。もうこの時点で「ハハーン」って感じですから。こりゃあ号泣したな、と。お着替えしてきていないところを見ると、お漏らしまではしなかったらしい。よくぞ堪えた、娘!
「娘ちゃん、鬼さん来た?」
「……きたの」
「何色の鬼さん来たの? 赤? 青?」
「あかとあお」
フルメンバーだった模様。
「泣いちゃった?」
「……娘ちゃん、泣いちゃった」
「豆は? ぶつけた?」
「……(首を横に振る)」
そうよね、やっぱりそれどころじゃなかったわね。
翌日、お迎えに行ってくれた姑さんから聞いたところ、
姑「昨日、節分で鬼が来たみたいでね」
宇部「あー、そうみたいですね。わんわん泣いたって聞きました」
姑「そうなのよ! もうね、その後受け答えが全部敬語になってて!! あーっはっはっは!」
宇部「全部敬語!(笑)」
姑「『○○する?』って聞いても『はい(シュン』『はい、します(シュン』なのよ!!(笑)」
宇部「鬼効果ヤバい!!(笑)」
まったく酷い母と祖母ですよ。
まぁ、よほど怖かったんでしょう。まだ写真は来てませんが、確実にあれですから、なまはげの正装ですから。あの藁のやつとか被ってますからね。子ども達よ、よく見なさい、その藁の下から先生の服とか割かしがっつり出てるからね? 君達上の方しか見てないのよ。普段の目線は低い癖に、どうしてそういう時だけ顔付近しか見ないのよ。
とまぁそんなこんなで(親的に)大満足の節分は終わりまして、夕ご飯は『恵方巻→巻いてれば良いんじゃない?』という無理やりなこじつけで手巻きずしにしました。
その後、旦那が「よーし、豆まきするぞー」ってでん六豆を用意したんですけど(もはや落花生ですらない。あの緑のやつ食べたくて)、娘ちゃんは気が気じゃないわけです。
もしかして、またあの鬼さんが来るのかもしれない。
娘「ほんもののおにさん来る?」
宇部「来ないよ。パパ鬼だよ、パパ鬼」
娘「パパ、おにさんになっちゃうの!? だめだよぅぅぅぇぇぇ!!!」
宇部「(くっそ、こんなので……(笑))ならないならない! あれだから! ぺらおっぺらのお面のやつだから!!(でん六豆買ったらついてくるやつ)」
旦那「……(俺はいつ登場すれば良いのか……)」
ていう。
結局、旦那鬼が登場するギリギリまで私の後ろに隠れていた娘でしたが、出て来たのがどうやらパパらしい、ということがわかると、それでも控えめにでん六豆の小袋をぺし、ぺし、って投げてました。
息子はというと、学校からもらってきた落花生を結構本気で投げてました。お前、インドアっ子の癖に案外良い肩してるじゃねぇか。
以上、2020年の宇部家の節分でございました。
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