第290話 ちゃんと被ろうぜ

 よく言うじゃないですか。


『おしゃれには我慢が必要』って。


 だから若い女の子は短いスカートを履いたり、おへそ出しちゃったり、ストッキング履かなかったりするわけですよ。


 まぁ私の場合、実家の方がクソ寒かったのでそういう薄着系の我慢は出来ませんでした。が、イケイケの女子はそれでも頑張ってましたね。

 若いうちに体を冷やすと老いてから大変だぞってばあちゃんが口酸っぱく言ってたんですけど、アラフォーとなったいま、彼女らがどんなことになっているのかは知る由もありません。私とは住む世界が違うタイプのイケイケ女子なので、連絡先なんて知りませんし。


 ていうか、よしんば連絡先を知ってたとしても「アンタ若い頃腹出してブイブイ言わせてたけど、いま、身体にガタがきてない?」なんて電話が来たら何かしらのセールスかなって思いますよね。健康食品とか補正下着を紹介されるパターンです。


 さて、我慢を余儀なくされるおしゃれと言えば、あとは靴でしょうか。

 若い頃はデートだなんてなりますと、やれつま先がつんと尖ったパンプスやら、多少ヒールのあるような靴を履いたりしてたわけですけど、いまはもう機動性重視ですから冠婚葬祭以外はスニーカーで乗り切りますよ。子どもとのお出掛けというのは、もしもの時に走れないといけませんから。


 さて、ファッションなんですけど、こういう『寒い季節なのにあえて薄着をする』ですとか『痛いけど華奢な靴を履く』というものの他にもう一つ『そこまで寒くない(あるいはむしろ暑い)のに防寒アイテムを身に着ける』っていうのもあると思うんですよ。


 こうやって文章で書くと、「何言ってんの?」って思うじゃないですか。でもね、あるんですって。


 ほら、ちょっと前に流行りませんでした? 

 ギャルのムートンブーツ。


 何年か前にちらっと見たギャル雑誌(完全に怖いもの見たさ)で、ギャルギャルしいギャルが真夏だってんのにムートンブーツ履いてたんですよ。大丈夫かなって思いましたもん。そのブーツの中も彼女らの頭の中も。とんでもないことになってるんじゃないかなって。


 いや、私もね?

 ルーズソックス履いてた世代ですからね?

 あのふくらはぎから足首辺りがもったりする感じが、ガンダムの足みたいで可愛いって思ってましたから。ていうかいまでも可愛いって思ってるんですけど。だから、ムートンブーツのあのシルエットは大好きなわけです。ちなみにシルエット的には、だいたい防寒アイテムってどれも可愛いと思ってます。あのもこもこな感じが最高。


 まぁこの真夏にムートンブーツはいまも流行ってんのか知りませんけど、いまはこれですよ。


 ニット帽。


 いや、私の見間違いだろうと思ったんですけど。


 夏とかでも被ってる人いません……?

 しかも、耳より上に乗せるくらいの感じっていうか、頭の上がとんがりになってるんですよ。すっぽり被ってないんですよ。

 これ、ママさんに多い気がします。気がするだけかもですけど。おしゃれママさんと言えば、ニット帽とロングカーディガン、そしてアネロのリュック、ってイメージです。


 いや、もうこれね。

 頭の中どれだけ蒸れてるんだろうって。

 それから、あんな乗せるだけみたいな被り方して、脱げないのかなってハラハラするんですよ。


 そしてそれ以上に――、


 耳まで被れ! 凍傷になるぞ!


 ってね、何かざわつくんですね。

 ニット帽ってそのために被るものでしょ? 凍傷舐めんな。最悪耳取れるからな? って。


 あと私の場合ニット帽って髪の毛を押さえるっていう役割もあったりするもんですから、耳を保護するでもなく、髪を押さえるでもないという、あの被り方を見るとどうにも落ち着かなくなる私なのでした。


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