第286話 息子の学校にて

 今日はね、わたくし、息子の学校での出来事をご報告しようかとね。


 というのもですね、今日(これがアップされる頃はもう終わってるけど)は、息子の学校に読み聞かせをしに行く日なのでした。


 読むのはその学校の図書室にある大型絵本だったり紙芝居だったり、あるいは自宅のものでも、図書館から借りてきてもOKという感じでして、私は学校の図書室にある紙芝居をいつも読んでおります。


 ただもちろん、限りもあるのと、出来れば読み手側(私)が思わず泣いてしまうような『泣いた赤鬼』とかは避けたいですし、あと、メジャーすぎるのもなぁ、となかなか難しいところでして。


 そうなりますと、何かこう昔の笑い話みたいなのになってくるんですよね。小僧と和尚さんが出てくるやつとか、働き者と怠け者が出てくるやつとかね。


 もう、言い回しが古い古い。大丈夫? これ一年生だけどちゃんと伝わってる!? っていう。


 まぁその辺は良いです。

 こちとらアマチュアとはいえ作家ですから(キラーン)、もしもの時は現代語訳してやるぜ! ってなもんです。


 と、そこにばかり字数を割いていられないのです。

  

 いや、息子がね。

 息子の学年3クラスなんですけど、今日は息子のクラスで読み聞かせしたわけです。そしたら、ほら、当然、


「あー! 今日息子君のお母さんだー!!」


 がね、始まるわけです。保育園が同じ子なんかはもうハイタッチとかしてくるわけですよ。さすがに私も子ども相手ならハイタッチくらいしますから。大人として。大人としてね、そこは。


 ただ、恐ろしいのが、同じ保育園でもなく、クラスも違う全然知らない子が「あれ? 息子君のお母さん? ばいばーい!」って言ってくること。一応ノリ良く「息子君のお母さんだよー。ばいばーい」と返すものの、心の中では「(どちら様……?)」って思ってますから。しかもこれ、5月くらいにはもうやられてましたから。


 で、そんな下地がある中で読み聞かせに乗り込むわけです。もうね、束の間の有名人気分ですよ。あちこちキョロキョロしながら息子の同級生達に手を振りまくるという。そしたらですね、まぁ高確率で「さっきねぇー、息子君がねぇー」って始まるわけです。もうドキドキですよ。何かやっちゃった? ウチの子何かやっちゃいましたぁ?! って。


 この場合の「何かやっちゃった?」って、あの異世界モノの鈍感系主人公のあれじゃないですから。ガチなやつですから。お友達を怪我させたとかそういう系のやつですから。


「どうしたの? 息子君、何かしちゃった?」


 と、恐る恐る聞いてみたらば、


「あのねぇー、今日のわたしの髪、かわいいって言ってくれたのー!」


 息子お前!!


 そういうとこだぞお前!!

 どうしてお前そういうこと言えるんだよ! 誰の子なんだお前は!


 あっ、でも、確かに可愛いピンつけてる。

 たぶん、息子はこのことを言ったんだろうな……。


「今日の髪(につけてるピン)かわいいね」って。


 たぶん、普段から、妹とそういうやりとりしてるせいでしょうね。鍛えられているというか、何というか。


「にいにー! これみてェー! 娘ちゃんのおようふく、みてェー!」

「うわぁぁぁ、かぁわいいねぇ~。娘ちゃんのおようふく、かっわいいねぇ~」


 って、やたらと芝居がかかった感じに褒めるんですよ。演技が舞台派すぎる。テレビ向きにしてくれないと不自然だから! 娘だから騙せてるけども!


 あととりあえず、母ちゃんのドキドキを返してくれ。

 お前学校で何やってんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る