第238話 成長したな、お前

 と上から目線なタイトルなのは、我が子に向けた言葉であるからして。

 

 成長したな、と言いましても、そりゃあいま4歳と6歳ですからね、成長してもらわないと困る時期。いま成長しないでいつすんの、ってなもんです。


 娘は最近めきめきとお姉さん化し、「だからね、わたし、○○ってしたワケ」とか言い出してですね、ちょっと桃井かおり的要素が顔を出してきました。もしくはYOUさん。タレントの。

 あとはね、お絵描きが上手になってきましたね。彼女の描く絵はどういうわけだか、常にスパゲティ食べてます。テーブルらしき四角いところに黒いもじゃもじゃが乗っかってるんですよ。


「これ誰、娘ちゃん?」

「これはママに決まってるデショ」

「(決まってたんだ……)ありがとう、良く描けてるね。じゃ、このもじゃもじゃは?」

「スパゲチーに決まってるデショ」

「(決まってたんだ……)へぇ――……」


 ママのヘアスタイルが飛鳥時代みたいになってるのはまぁ良いとして、普段は『パスタ』って言う癖にこういう時は『スパゲチー』なんだ、とちょっとしみじみ(そこ?)。


 あとは何か地図を描いています。ドラえもんの宝島を見たからでしょうね。ただその大陸がですね、元々はドラゴンとかそういう生き物が何をどうしたか島になり、物語の終盤には真の姿になって飛んでいく、みたいな形してるんですよね。地図を描いたのかドラゴンを描いたのか……。いずれにしても天才には違いありません(確信)。


 さて、それでは息子の方はどうか。

 彼の場合、能力の8割くらいがお絵描きとか創作の部分に偏ってしまっているアーティストなもので、おしゃべりがなかなか苦手なんですね。ですがさすがに最近では会話によるやり取りがスムーズになって参りまして、いやはやこれも成長かな、と。


 で終わるわけにはいかないんです。だってまだ800字にも満たないんですから。いや、意外と書いてたな、おい。


 お絵描きと折り紙なんですよ。

 いずれも息子が大得意のやつなんですけど、最初はもちろんこうではなかったのです。ほんの1、2年前なんかは、自分が描けそうにないやつは「これ描いてー」なんて言って私や旦那に紙と鉛筆を差し出して来ていたわけです。折り紙も同様で、彼は大人は何でも折れると思ってますから、「仮面ライダー折って」とか平気で言ってくるんですよ。折れるかよ。


 当時はハイハイって請け負ってたんですけど、そろそろ要求のレベルが高すぎるな、ということになりましてね。


 もうね、思い切って「無理!」って言ってみたんですね。大人にも出来ないことはある、と。


 その結果、「駄目だ、親はもう頼れない」と思ったのかまではわかりませんけど、何でも自分で描くようになりました。


 そして、折り紙。

 折り紙の本をね、買い与えたんですよ。かなり分厚いやつ。結構難易度の高い昆虫とか折れるやつ(折り紙何枚も使うレベル)なんですけど。もちろん最初はね「パパ、ヘラクレスオオカブト(難易度★★★。普通に無理)折って!」でしたが、いまとなっては――、


「見てー! ヘーラークーレースぅ~!」


 と、自分で折れるように!

 

 成長したな、息子よ!


 しかし……コピー用紙で折るのは止めてくれ。折り紙を使え、折り紙を。

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