第226話 過去の栄光なのか
おかしい……。
おかしいんですよ。
私はもっとやれる子のはず(子ってお前)なんです。
と、冷蔵庫の中を見つめて思う私です。
冷蔵庫の――具体的に言いますと、ドアポケットっていうんですかね、飲み物とか入れるところね。
牛乳がね、3パック入ってるんですよ。
そのうち1パックは半分くらいなんですけど。それにしたって。
欧米かよって。
欧米かよって、思わず突っ込みたくなるほどの量ですよ。
宇部家は4人家族なんですが、旦那は戦力外です。牛乳でお腹がゴロゴロしちゃうタイプなもので。
しかもね、そのうちの1パック、10円引きなの。これが何を意味するか。
賞味期限間近!! リミットは明日!
しかもそれが一番新しいという。
つまり残り2パックは既に切れてます。
いや、以前お話した通り、私はお腹が強いので、多少は平気です。
しかし、そんな危険なブツを子ども達には飲ませられないわけです。
ということは。
ということはですよ。
子ども達に飲ませる用に、やはりもう1パック買わないといけないわけでして。
いや、何がおかしいってですね。
普段の私なら牛乳1パック飲み切るのに2、3日あれば十分なんですよ。
コーヒーしか飲まない(懲りもせずコーヒーばっかり飲んでる)私ですけど、牛乳入ってないと飲めないものですから。
にも拘らず。
一体どうしたことか牛乳が減らないわけです。
おかしい。
全盛期は一週間で3パック空けたこともあるというのに。
老いですかね。
まさか牛乳の消費量で老いを感じるとは。
いつまでも過去の栄光に縋っていてはいけないわけです。
もうむやみに牛乳を買わないようにしようと決意した私です。
さて、過去の栄光と言えばですよ。
私のこのバリカタハリガネ且つもっさもさでお馴染みのヘアーですよ。
もしかしてもう言うほどバリカタハリガネでもなければ、もさもさでもないんじゃない? って思ったわけです。年々ハリがどうとか言いますし、確かに産後はめっちゃくちゃ毛も抜けましたしね?
いかんいかん、いつまでも若いわけじゃないんだから、って。
私の馬鹿! ってね。牛乳を飲む量が減ったんなら、髪だってもうへなへなぺったんこのはず。
そんなわけで(どんなわけで?)買って来たんですよ、白髪染め。
いつもは美容室で染めてもらってるんですけど、増税の何たらかんたらで予約が取れなくてですね、しゃーない、自分で染めるか、ってことで。
私はどうしても真っ黒に染めたいんです。
しかし、女性向けの白髪染めって、一番暗くてもダークブラウンとかなんですよ。いやいや、もっと黒いの寄越せよ。漆黒の闇みたいなの寄越せ。美容室でも、とにかく真っ黒にしてくださいとオーダーしている私です。何せ闇の眷属なんで(言ってみたかったやつ)。ブラウンの要素はいりません、と。
なので、仕方なくメンズ向けのを買ったわけですよ。ナチュラルブラックね。ナチュラルって必要だった? 全然アンナチュラルなブラックでも良いんですけど。
そしたらね、パッケージに書いてるんです。
『ショートヘア2回分』って。
残りは取っておけるタイプのやつなのでした。
もうね、真っ先に思いましたもん。
「それ、この私に向かって言ってる?!」って。
ダメダメ、私ったらすーぐ喧嘩腰になる。こと髪に関してはすーぐ喧嘩腰になっちゃう。若い時分から毛のトラブルが多すぎてもう。
だけどね、さっきも書いた通りで、ほら、過去の栄光かもしれませんから。それ本当に栄光なのかって話ではありますけど。
だからちょっと期待して染めましたよ。
私もとうとう残りを取っておいちゃうのか?! ってね。柄にもなくウキウキしながらね。肩のところにタオルも何もかけなかったもんですから、たぶん染まっちゃってるんでしょうけど、良いです。グラビアの予定もありませんし。
で。
まぁ結論から申し上げますとですね。
残りは取っておけませんでした。
ふしゅぅ――――カスッ、ぶしゅっ、ぶしゅっ、ぶしゅるるるる……
っていつものやつでしたわ。
肩にギリギリつくくらいのセミロングなんですけどね。ショートヘアで2回分なら、セミロングでも1,5回分くらいあんのかなって思うじゃないですか。全然そんなことなかったですからね。
もうあれね、髪に関しては全然衰え知らずでしたわ。私たぶんこのままいくと髪にまつわる系の妖怪とかになるんじゃないですかね。
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