第215話 今年もやって来ました
私が最も成長を感じられる日――人間ドック。
そう、先日は人間ドックなのでした。
忘れもしません、第一回目はかなり早くに着いたのに、番号札を取り忘れたため最後に回され、第二回目は別の会社のドックに紛れ込み。
そして迎えた第三回! これは失敗出来ない! 良い年した大人(アラウンド・フォーティー)として! 二児の母として!! 息子、娘! 見ててくれ! 母ちゃんの勇姿を!
そんなわけで、もうね、今回はばっちりでしたよ。ここに書くことなんて何にもないです。
と、胸を張れるような私だったら、このエッセイだって200話も超えないんです。もちろん今回も少々あります。でも、ちょっとだけですよ、ちょっとだけ。
とはいえ、もちろん他の会社のドックに紛れることもありませんでしたし、番号札だって完璧です。3番ですよ3番! もう全世界に発信したいくらい。皆さーん! ここに! 番号札3番をゲットした私がいますよ!! ここにいますよ!! 宇部でございますよ!! ってね。温泉とかのロッカーに付けられてるような楕円形のプレート(番号は3!)をこれ見よがしにひらひらさせてね、じいさんとばあさんに挟まれてドックの列に並んだわけです。
問診表や保険証やらを手渡して、さぁ早速採血です。なかなかふくよかな看護師さん(副師長さんでした)が私の腕に針を刺してくださるそうです、が。
「宇部さん、もうちょっと肘伸ばして。もっと、ぴーんって」
「こ、こうでしょうか」
「もっと、もっとぴーん、って。はい、ぴーん!」
……いや、あなたのパイオツに阻まれてるんですけど。これ以上ぴーんってしたら、あなたのパイオツに My 拳がめり込むんですけど。まぁ、私も女ですし? おんなじもの持ってますから? べーっつにめり込んでも良いわけですけど……。いや、さすがにあんまり……おばちゃんのパイオツ触ってもなぁ……。
とまぁそんなこんなでパイオツスタート(結局めり込んだ)を切った人間ドック。さすが番号札3番(くどい)ですからね、もう早い早い。さくさくと進むわけです。何ならさくさく進みすぎて途中「まだ〇〇の準備が出来てなくて~」なんて言われ、結局待たされたりもしましたけど。
さて、心電図では、知り合いのママさんに測ってもらうというサプライズイベントも発生しまして、こんなことなら足首の毛だけでも剃っておけば良かったなんて悔しい思いをしたりしました。ていうか、女の足首ってふつー毛が生えるもんなんでしょうか。私だけ? チンパンジーだった頃の名残かな?
それでもまぁそこそこ順調に進み、さぁ、メインイベント、バリウムです。今回はもし仮に下剤を大量に渡されたとしても、ちゃんと2錠ずつ飲んでやるぜ! なんて決意を胸に抱きつつ、やっぱり「ちょっとまだ準備出来てなくて~」で待たされたりしまして、いざ行かん、検査室!
最初にほら、ラムネのパウダーみたいなの飲むじゃないですか。何か謎の液体と一緒に。ところが、何を思ったか、私、龍角散ダイレクト方式(水なしで服用OK!)で飲み込もうとしちゃって、すぐにその液体を飲まずにしばらく舌の上で転がしてたんですよ。そしたらもうお口の中でぶくぶくし始めちゃいまして。ぶふふぅ――ってお口からちょこっと出ちゃいましたよね。カニか、って。そこでやっと液体の存在を思い出して慌ててごくごくするという。やはりバリウム検査とは少々相性が悪いようでございます。
で、さぁいよいよ最後の刺客、白い悪魔ことバリウムです。これ、ちびちび飲むの苦痛なんだよなぁ、っていう私の心の声が届いたんでしょうかね。
「はい、それじゃあそのバリウム全部飲んでくださーい」って。
――え?
去年までは一口飲んではごろり、一口飲んではごろり、そして最後に一気、みたいな流れだったじゃん?! ははーん、さては巻いてきたな、先生!? さんざん待たせた癖に!
というわけで、バリウム一気を要求されてしまったわけです。
確かにちびちび飲むのは苦痛と言ったさ(心の中で)。
だけど、一気に飲むならOKってわけじゃねぇから!!
しかし、お医者様の言うことは絶対なのです。
飲みましたよ。涙と共に飲み込みましたとも。
……以上が第三回、宇部の成長を感じる会、またの名を人間ドックの全容でした。
次こそは。
来年こそは!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます