第185話 ノンアルコールのアルコール
暑いと、がつっとスタミナ系と、つるっとあっさり系のローテーションになりません?
もうとにかく焼き肉のタレとかでがーっと炒めてご飯にどーんしちゃうか、おっやさいおっやさい言いながら生野菜もりもりのラーメンサラダ(好きな野菜とドレッシングで食べる冷やし中華と思っていただければ)にするか、みたいな。
でも毎回それもなぁって思うわけです。
肉は食べたいけど、こってり系じゃない。
そういう日もあるじゃないですか。
そういう時は鶏むね肉をなすやピーマンと一緒に味ぽんで炒めるか、やっぱり鶏むね肉を蒸して、ちょっと中華っぽい(『ぽい』が宇部クオリティ)タレをわーってかけて食うわけです。
で、先日、その蒸し鶏に中華っぽいタレのやつを作りまして。
長ネギ大嫌いだけど、そのタレには必須なので、頑張ってみじん切りにしましてね。残ったやつは冷凍ですわ。
そこで気付いたんですけど、私、長ネギ切っても涙が出る。長ネギなんてそうそう買わないので毎回忘れるんですけど、そうなんですよ。これ、普通? もちろん旦那は泣きません。
何だろう、私、ネギ全般で泣くタイプってことなんですかね。あんまり嫌ってるから呪われたのかな? 呪い系って、供養したりすれば解けたりしますけど、それじゃこのネギ、埋めれば良い? ていうか、そしたらまた生えてこない?
なんてあほなことは置いときまして。
さて、鶏むねを酒蒸しですよ。料理酒をね、とくとくと注ぎまして。で、蓋をしてふんふふんふってね。
そこで私はふと思い出したんです。
妊婦さんが姑に料理酒の入った煮物を出されて嫁いびりだー、みたいなやつを。いやいや、煮物って料理酒もみりんも入るじゃん? よっぽどアルコールが駄目な人なのかなぁ、いやそれにしても煮込むんだし、アルコールなんて飛ぶじゃん?
なんてね、そういう嫁姑の話を思い出して。私もお酒は弱い方ですけど、煮物食べて酔っぱらったとかまずありませんしね? そりゃそうよ、アルコールは飛ぶんだからあっはっは、って。
――えっ。じゃ、いまこのフライパンの中に入っている液体って何なの?
ハッとしましたよね。
ノンアルコールの料理酒になってるってことでしょ? ノンアルコールの料理酒って何ぞ。
ノンアルコールのビールとかチューハイってあるじゃないですか。チューハイの方は私も飲んだことがあります。普通にジュースでした。でも、ジュースにはなかなかない味といいますか。ジントニック風とか。
じゃあ、アルコールの抜けた日本酒とか、結局どうなるの? 米の味に戻るの? よく美味しい日本酒って水みたいにすいすい飲めちゃうとか言いますけど、じゃあ、水になるの!?
そうなると、そもそも料理酒って日本酒とどう違うんだろうって思うじゃないですか。
何か、日本酒に塩やら何やら入ったやつらしいです。ごくごくと飲めないようにしてるらしく、飲めない=お酒じゃないということで、酒類販売免許のないお店でも販売出来るのだとか。いや、よっぽどの人はそれでも飲むんじゃないのかなぁ。それは置いといて。
なので、アルコールがとんだ料理酒は、つまり――、何かしょっぱい液体、ということになりますね。
どうやら私は何かしょっぱい液体で鶏肉を蒸していたようです。
ちなみに、料理酒のことを調べた時に(私にしては珍しく調べましたよ!)ちらっと読んだんですけど、ビールは30分くらい煮立たせるとノンアルになるそうです。
ていうか30分も煮立たせたら、アルコール云々よりも炭酸がすべてなくなるのでは。
しゅわっともせず、酔うことも出来ず、おまけにアツアツ。
ビールとして生を受けたのに、考えうる最も美味しくない状態で飲まれるという。ていうか、何なら飲まれないでしょうね。これはビールとしてとんでもない屈辱ですよ。よっぼど前世で悪いことしたんでしょうね。来世に期待しましょう。
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