第172話 合う、を探る

 私ね、もう結構昔から肩凝りが酷いタイプでして。


 美容室で最後マッサージしてもらえるじゃないですか。

 その度に美容師さんが、「すごいですね」っていうわけですよ。何かもうその度にほんと申し訳ありませんって気持ちになる。


 例の新卒で入社した営業の会社でですね、そこの所長さんが、やっぱり肩凝りの酷い人だったんですよ。何か行きつけのマッサージ屋さんがあるらしいんですけど、行くたびに「アンタ、このままだと死ぬわよ」って言われるらしいんですけど。客に対してその態度! って私はびっくりしながら聞いてましたが、まぁ、細木数子さんとか、マツコ・デラックスさんだと思えば普通ですよね。


 で、その所長さんがですね、何でか肩を揉んでくれたんですよ。いま思えばセクハラなような気もするんですけど、私も含め、新卒の女の子達はだいたい揉まれてましたね。揉まれてました、ってやばい響きですね。


 で、その所長さんが私の肩を揉んで一言。


「おい、宇部、お前の肩俺よりヤバいぞ」


 えっ、このままだと死ぬ人よりヤバいの、私の肩!?

 私まだピッチピチの20代なんですけど?!


 という、このままだと死ぬ人よりヤバい肩を持つ私。


 肩凝りって、まぁ姿勢やら何やらが原因だって話じゃないですか。

 何かね、自分に合った枕にするだけでも違うとかね、そんな情報も耳にしたわけですよ。


 心身を癒すはずの睡眠が、合わない枕を使うだけで逆効果! みたいなね。何か怪しい通販の文句みたいになっちゃいましたけど。


 で、大きめのイオン(デパートじゃないのか)行きますと、セミオーダー枕みたいなの売ってるじゃないですか。形とかある程度決まってて、それを組み合わせて~、みたいな。セミオーダーっていっても、まぁそこそこするわけですよ。何せ、いま使ってるの¥980(税抜き)みたいなやつですから、もうビビるビビる。


 ちょっと気になるけど、別にいまの枕だって合わないわけじゃないというか……。いや、体感的には、合ってない感じはしないんですよ。でも、もしかしたら、それは慣れてしまっているだけで、本当に合った枕を使ったら違うのかもしれない。


 違うのかもしれないけれども……。


 いや、自信がないんですよ。

 そもそも、枕の合う合わないって、そんなバシーっとわかるもんなの? って。


 大体この『自分に合う/合わない』っていうのがほとんどわからないんですよ。

 自分に合う色とかもね、たまにテレビとかでやってるんですけど、顔の近くに当ててみて、顔色が明るく見えたら~、とか。そういうのも一切わからない。だからもう黒とかばっかり着ちゃう。


 ウェディングドレスを選ぶ時だって、そもそもドレス自体馴染みがないじゃないですか。こちとら王族じゃないんでね?

 自分に似合う形もわからなければ、色もわからないと来たもんだ。旦那に助けを求めるも「一生に一度なんだから、好きなの着たら良いよ! 俺のことは気にしないで!」と。いやいや、そういうことじゃねぇんだよ! 何かアドバイスくれよ!!


 っていうね。


 とまぁそんなこんなで結局値段にビビってしまって(失敗出来ない!)、買えずにいます。


 もうだいたい私が購入をためらうのってそういう感じですよ。

 もう少し自分にお金を使えるようになったら、また検討します(たぶん一生買わない流れ)。



 

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