第170話 ある有名人の誕生日
もう終わりましたけど、娘の誕生日でした。4歳です。時の流れは早いものでして、おぎゃあと産声をあげ、この手に抱いたのが昨日のことのよう……というのはさすがに嘘です。
どの部分が嘘かと言いますと、この手に抱いたのが、というところです。
抱いてないんですよ。胸のところに乗っけられはしましたけど。
帝王切開だったからでしょうかね。さすがに息子の時とは違って予定帝王切開でしたから、あんなにパニックに(「上からでも下からでも良いからとっとと産ませろやぁっ!」)なることもなく、心穏やかにその時を迎え――というのは若干嘘なんですけど。嘘ばっかりかよ。
いや、この予定帝王切開の『予定』の部分なんですけど。これね、選べたんですよ。この期間なんですけど、どの日が良いですか? って。
選べるんだー、ってちょっと感動しまして。だって普通、お産のタイミングなんて選べませんからね。選べるんだったら息子だって年末にすぱーんって産んで、すっきりして『笑ってはいけない○○24時』見てましたよ。
で。
選びましたよね。
その当時、まだ8月11日は『山の日』ではなかったんですけど、翌年からそういうのが出来るみたいなタイミングで、その日とか良いじゃん! なんて思ってたんですけど、残念、その日は手術出来ない曜日だったりして。
まぁ、祝日であるという以外に、私の好きなアーティストの誕生日、なんていう不純な動機もあったもんですから、こりゃあ、神様に見透かされたな、と。
それじゃどうしようか、ってなった時にですね、目に入ったのが『8月7日』。
これね、北海道の七夕の日なんです。
特に思い入れがあるわけではないものの、なんかちょっとロマンチックじゃん、とかね、思ったりして。
北海道での七夕の思い出なんて、子ども達が集団で「ロウソク出ーせー、出ーせーよ」って謎の歌を歌って民家を回り、ロウソクを出せっつってんのに、なぜかお菓子をもらうという和製ハロウィンみたいな謎のイベントくらいしかないんですけどね。
それにほら、8月7日で、『
で、そんなこんなで8月7日にしたわけなんですけど。
この8月7日ってね、ある有名人の誕生日なんです。
もしそれを知ってたら、たぶん、「8月8日って、八と八でダブル末広がりじゃん!
縁起良いじゃん!」ってことで8月8日にしたと思うんですよ。
誰かわかります?
あのですね、もうほんと、国民的有名人。
長期休みのタイミングで、やれ過去だ未来だ宇宙だ深海だ南極だってね、色んなところに行っては、世界を救ってきた英雄ですよ。
もうおわかりですね?
あやとりと射撃の名人にして、遅刻と昼寝と0点の申し子! ドアを開けたらあの子の風呂場でお馴染みの普段は出来ない眼鏡っ子、のび太くんです!
もうね、娘を産んで、退院して、結構すぐにわかったんですよ。息子がたまたまドラえもん借りてきて、それがのび太くんの誕生日のお話で。
叫んだもんね。
は? マジ? って。
私、我が子にとんでもないもの背負わせたんじゃない? って。
ごめんね、娘。
君のところにドラえもんはいないけど、割と何でもやってくれる優しい兄さんはいるよ。
あと、何か、ドラえもん展(?)みたいなやつで、のび太くんと同じ誕生日の方に記念品をプレゼント! っていうのを見たんですよ。良いじゃん、これ! 保険証でも母子手帳でも見せてやらぁ! って思ったらね、開催地、大阪。
行けるか――――いっ!!
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