第90話 説明長い系ガール

 さて、息子の話をしたらば、次はやはり娘ことネタ泉先生(泉は枯れ気味)ですよ。いやはや子どもはネタの宝庫ですな。ほくほく。


 いや、ほくほく言ってもいられないのですが。そんなにパンチの効いたエピソードでもないのでね。


 まぁ、どのおうちでも、我が子が一番可愛いわけじゃないですか。

 そりゃ子役の子とか、めっちゃくちゃ可愛いですけどね、我が子の可愛さっていうのはそういうのではないわけです。

 仕草やら言動、肌触りに匂い(また匂いかよ!)、これまで一緒にいた時間、思い出、そういうのがぜーんぶ加わって来るじゃないですか。そもそも腹の中からこんにちはの時点で初登場1位ですから。


 息子はこの世界の『全子ども選手権・男子の部』において不動の1位ですし、

 同じく娘も『全子ども選手権・女子の部』において不動の1位なわけです。

 ファミリーアイドルユニットUBEユービーエーフォー(語呂が悪い)の不動のダブルセンターなわけです(えっ、残りの中年男女もアイドルなの……?)


 けれど、もちろん客観的に見る時もあります。ちょっとむちむちすぎないかしら(娘)、とか、ちょっとガリガリすぎないかしら(息子)、とか。それだけじゃなくて。やはり我々のブレンドですからね、ここから一発逆転してミスユニバースになれるかというとそりゃ厳しい。東大に入れたりとか、オリンピックとか、さすがにそれは無理かなと。ご先祖様を総動員しても厳しいかなと。


 だからいつかは知ることになるんですよ。自分はパパとママが言うほど見た目が可愛いわけでも、天才でもないんだ、と。

 親からすればそんなの関係ないんですけどね。でもいつか、自分の持ってるカードが実はそんなに強いやつじゃなかったって気付くわけじゃないですか。


 だけどね、例えば愛嬌とか、礼儀とか、優しさとか、そういうのを上乗せすることも出来るわけですからね、むしろ大人になったらそういう部分こそ大事だったりするわけで。

 だから、持ってるカードが多少弱くても卑屈にならないでね、あなたにはこんな最高のところがあるし、最高の子ども達だよ、自信を持ってね、と。

 自分がね、そう言ってもらいたかったっていうのもありまして。漠然とした『可愛い』じゃなくて、ここが良いんだよって。


 まぁ、そんな思いでね、毎日声をかけますわね。


 そしたら、その結果。


「大変! ママの可愛い娘ちゃんの可愛い可愛いすべすべのお膝が!」

(ちょっと転んで軽ーくすりむいただけ)


「ママ、可愛い可愛い娘ちゃんのもちもちいちご大福ちゃんみたいなほっぺ見て」

(主に入浴中。ハリも潤いもない母にぷるんぷるんの頬を見せつけてくる)


「今日ね、娘ちゃんの可愛い桃ちゃんみたいなお尻がぶつかっちゃったの!」

(お友達とちょっとトラブったらしい)


「にいに、娘ちゃんのもちもちほっぺちゃん、いちご大福ちゃんみたいでしょ」

(兄に自慢中。兄はほっぺが真っ白、娘はほんのり赤いタイプ)


 もうね、びっくりするくらい説明が長いの。えっ、それ全部ひとつの名詞なんですか? って。

 いや、悪いのすべて私。

 そのもちもちふくふくのナイスなバディがついつい可愛くて、最高すぎて、つい。


 兄さんの方はですね、もうひたすら恰好良いって言いまくってるんですけど(可愛いって言いまくってたらそろそろ怒られた)、こちらももう疑ってない。本当に自分が最高に恰好良い男だと思っている。いや実際に最高に恰好良い。いますぐにでも天下取れるんじゃないかなってくらいに。

 だからかな、信じられないくらいモテてる。ここで人生のモテ期が終わったらどうしよう。


 だから! そういうことばっかり言ってるから!!!


 だけどね、そのもちもちいちご大福ちゃんみたいなほっぺがしょんぼりしてたら、両手で挟んでむにむにむにーってしながら、


「あらあらあら、ママの大好きなもちもちいちご大福ほっぺちゃんがしょんぼりしてるわねぇぇぇぇ~。食べて良いかしらおほほほほほほ。がぶり(実際食う)」


 ってやるとね、えへへーって笑ってくれるんですもん。実際もちもちなんですもん。



 

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