第89話 意識高い系ボーイ
保育園やら学校で保護者の方々と懇親会っていうんですか、そこまでじゃなくてもこう軽ーく車座になってお話ししたりすると、やっぱり各家庭色々違うなーって思うわけです。
特に私なんかはママ友なんてものも全然作らず(スーパー人見知り)なので、育児に関する情報は職場の先輩方(下は小学生から上は社会人まで)だったりして。
ウチの育児といえば、かつて自分が育てられたように育てているといった感じで、幸いなことに旦那もまぁ似たようなものだったので、そこで争うこともなくやってます。ただ、自分達がされて嫌だったことは廃止し、して欲しかったことを取り入れ、という改革ももちろんありですけど。
で。
まぁ色々「他のご家庭ってそうなんだー!」というカルチャーショックを受けまくったわけですが、その中でもかなり驚いたのが、
『食事中もジュースOK』
ウチ以外の全家庭じゃないですよ。そういうお宅もあった、というだけなんですけど。でも、たまに飲ませるという家もありまして。
うっそだろ、おい! と。
前のお話でも書きましたけど、ウチはジュースNGの家でしたから。でも、特別な日にはOKですし、むしろそっちの方が特別感があって良かったんですけど。おいおいブルジョワジーかよ。
でも、そのお陰か、はたまた鬼のようにきっちりと歯磨きさせているからか、子ども達は虫歯0なのです。親は……ええ、まぁ……、だからこそ、というかね……。
そのため、特に息子は飲み物といえばお茶、水、牛乳で、たまにジュースも飲ませるんですけど、おかわりを要求する際はお茶。何ならジュース飲みながら「お茶は?」と聞いてくるくらい。
でも、もしかしたら我慢してるのかも。させてるのかも。現に娘の方は(こっそり姑が飲ませてたから)おかわりはジュースを要求するし。
と、反省したわけですよ。
よし、ご飯の時は駄目だけど、おやつの時間とか、そういう時なら飲ませても良いかな。
なんて思っていた時のことです。
皆でスーパーにお買い物行きましてね。
娘はその時カートに乗ってました。息子は手を繋いでスーパー内をるんるんと。
「俺、何か飲み物買う」
そう言ったのは旦那です。ウチのジュノンボーイ準グランプリは『僕』と言いますから。いつまでも『僕』でいて!!
というわけで、飲み物コーナーへゴー。色とりどりのペットボトル飲料がずらりと並んでいます。
「僕もー」
はい、可愛い。
もう君ジュノンボーイ準グランプリ確定。10年後のライダー俳優は君に決めた!
いままで親から与えられるもの(お茶)をただ飲むだけだった彼が、いま、自分の足(手だけど)で自立の一歩(いや手だけど)を……!
もう、旦那とね、涙を拭うふりまでしてね、大きくなったなアイツ、ええ、ってね。この夫婦うざい。
「僕、これー」
い・ろ・は・す!!
しかも何の味もないやつ!!
い・ろ・は・すの中のい・ろ・は・す!
水、ど真ん中!!
「え……? ちょ、こっちになっちゃんとかあるよ? りんご味だよ?」
「そうだよ、それ、水だぞ?」
「うん、僕、お水がいい!」
「ええ――……」
そんなキラッキラな目で言われちゃったらね、あのぺっこぺこのボトル握りしめて言われちゃあね、そりゃ買いますよ。いっそ水道水で良くない……? なんて一瞬よぎりましたけどね、違うんですよ。彼は、ペットボトルの水を飲みたいんですよ。い・ろ・は・すを!
そして本当に美味しそうに飲むんですわ。ぷはー、って。おっさんか、って。それ、仕事上がりのおっさんがビール飲む時のやつだから。この一杯のために生きてるから。
もうね、旦那とね、「こいつ、意識
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