第82話 丁寧な暮らしの落とし穴
子どもの服って、とにかく穴が空くんですよ。知ってた?
ズボンは膝ね。
すぐ転ぶから? いや、さすがに年長さんくらいになるとね、そんなそんな転ばないですよ。なのに何で? って思うじゃないですか。以前、ちょっと信じられない光景を目にしたんですけど、ウチの子、用もないのに膝で歩いてやがる! ちょちょちょ! それってあれでしょ、靴履いちゃったけどちょっと忘れ物しちゃって(だいたい鍵か携帯)仕方なくやるやつでしょ? どうして室内で靴も履いていないのに膝を酷使するの? あとで痛い目見るよ! 膝を酷使したら後で(60年後くらいに)痛い目見るよ!!
あとね、もっと信じられないのがね。
わぁー、このズボンの柄恰好良い~! ちょきん! ってやつ。
ウッソだろおい! そのパターンはさすがに想定外! ちょきん! じゃないから!
と、そんなこんなでズボンは膝がやられます。もうAmaz〇n様でアップリケが大量に詰まったやつを買いまして、それをジュージューしてます。
でも油断は出来ないもので、せっかくのアップリケも剥がそうとしたりしますから。もうジューした上で針と糸で縫い付けるっていうね。大人を舐めるな。
そして、Tシャツ。まぁ冬場はね、多少厚手になるからまだ良いんですけど、Tシャツ! 半袖はもちろんのこと長袖のも薄手ですからね、これは穴が空きます。どこにって? 左胸ですよ。
もう、わかりますね。
そう、名札の位置です。
娘はこの春から年少さんということで、いままで鞄に付けていた名札を左胸に付けることが許されまして。それがもう『お姉さんの印』ってことで嬉しいらしく、鏡で全身を映しては名札をちょっと引っ張ってうふうふ笑ってるんですよ。引っ張るな、止めろ。
でもまだ娘の方は良いのです。以前書いた通り、彼女の服は可愛いプリントやら装飾がついているので、そこを利用すれば良いからです。
問題は息子!! 彼の場合、プリント系のもあるにはあるんですけど、無地やボーダー(つまり私の加工が施されてるやつ)が多いのです。しかもまぁ安いやつですからね、子ども服は質より量ですから、ぺらっぺらなんですよ。まぁ、そっちの方が涼しくて良いみたいですけど、ウチの子は。ていうかいつまで名札引っ張ってんだお前!
でもね、やっぱりそれでも大事に着てもらいたい。自己満足ではあるけれど結構頑張って加工もしてるし、それに、大きめの買ったから、たぶん来年も着れる、と思うし。
そんなこんなで、ですね。
私は一計を案じたわけです。
そうだ! 名札をつける部分だけ裏に布を貼れば良いじゃん!!
浮かびましたよ、名案。私の頭上でね、電球がピコーン! って。ええ、光りましたとも。
ちょうどね、100均でね、ちょっとした穴を塞ぐ用の補修シート買ったんですよ。服の裏から当てるやつ。色もベージュ、ナイス!! これなら縫わなくて良いし、アイロンだけだから簡単! イケる!
それをね、2cm×4cmくらいに切って、裏返した服の左胸にね、ジューって。
良いじゃん良いじゃん。
何かいま私、すごく丁寧なことしてる!
これ、いま絶対無印〇品の店内BGM流れてる!(実際はクレ〇ジーケンバンド)
なんて思いながら調子よくジュージューしてたわけですよ。
でもね、宇部さんだよ?
それだけで終わると思う? そんな、リネン素材のゆるっとしたワンピースでね、シンプルなカフェオレボウルで両手を温めつつ軽くトーストしたパン(たぶん天然酵母とかの。レーズンも入ってる)を食べるような暮らしなんかしてないんですよ。
何かの手違いでね、右胸にね、貼っちゃったのね。最後の一枚。油断してたんでしょうね。ま、まぁ良いか、これはこれで。
で、左にもつければ……。ジュー……。
で、表に返して、気付いたの。
これ、両胸に貼るとね、何か『異様に乳首の透けを気にしている人』みたいになる。薄い色のやつだったので、うっすら透けて見えるんですよ。
左胸ならね、名札で隠れるけど、右胸の方はね、隠すものがないの。むしろ乳首隠してんの。6歳の子どもが乳首なんて気にするか!!
剥がしましたよね。
無理やりべりべりべりーって。右胸の。
やれやれ、どうやら私には無印的丁寧な暮らしは難しいみたいですな。
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