第81話 つるつるをつるつるする

 つるつるって言われたら、何を思い浮かべます?

 ……うん、もう良いです。たぶんあれですよね、光輝くあれでしょ? 違いますよ。


 麺ですよ、麺!(逆ギレ)


 幼児語っていうんですかね、いまだに抜けないというか、定着してるというか、意識すれば直せるんですけど、ついつい言っちゃう。


「今日、つるつるにする?」って。


 まぁつるつるでも麺でも良いんですけど、問題はそのが何の麺を差すか、だと思うんですよね。


 ほら、先日からちょいちょい言ってますけど、そろそろ暑くなってくるじゃないですか。もう夏がね、抜き足差し足忍び足っていうか、ドンドンドン! ピーヒャララ! パフパフパフー! スパパパパパーン! ってね、パリピ片手にウェイウェイ迫ってきてるじゃないですか。そのパリピも隙あらばBBQやろうとして焼き網と木炭担いでるじゃないですか。火ばさみカチカチ鳴らしてるじゃないですか。出たな火ばさみ怪人。


 そうなると、どういうわけか冷や麦とか素麺が急に幅をきかせてくるんですよ。冬の間は乾麺コーナーで暇そうにしてたのに。「夏のつるつると言えば俺だろ?」くらいにふんぞり返って、急に張り切りだしますから。そうはいってもお前ら、夏の代名詞BBQには加われねぇけどな! 焼きそば先生が鉄板でジュージュー焼かれているのを乾麺コーナーで指くわえて見てやがれ!


 という文面からもわかるように、わたくし、宇部、素麺と冷や麦が苦手でして。


 これね、何でかさっぱりわかんないんですけど、つるつるつるーって食べると、つるつるつる――……オエッ! てなるんです。つるつるつるーがそのまま喉をつるつる通過しようとして、上咽喉辺りの関所で一旦ストップがかかるんですよ。ちょっと君達通行証(歯形)持ってんの? って。


 あるわけないんですよ。何せつるつるつるーが、こちらの制止を振り切って食道へつるつるしようとしてるんですから。


 あらー、それじゃあ通せないねぇ、って。じゃ、一旦引き返してくれる? って。そうなるじゃないですか。

 引き返すってつまり……オエッ、てことだからね。


 うどんやそば、ラーメンならそんなことはないんです。素麺に冷や麦、あとたまに春雨。しらたきとかところてんも大丈夫。不思議でしょう? 大人の女性って多少ミステリアスな方がモテると思うんですけど、咽喉部分にそのミステリアスさがある女性はどうなんでしょうね。いまのところ家族からはモテモテなんですけど。私のモテ期、10年くらい前からごく狭い範囲で継続中。


 そうそう、結婚してからですね、うどんを食べる機会が増えました。


 私もともとそば派でして。

 これ、四国の人からたぶんボコボコにされると思うんですけど、うどんって味ないじゃないですか。ああ言っちゃった。たぶんこのエッセイ炎上しますよ。自宅に剃刀レターも殺害予告も届きますね。住所いつの間にバレたんだ。


 だけど、そばは味がね、あるんです。おそば味。そば湯もありますしね。うどん湯はないわけですし。ないですよね? 


 でも、旦那がうどん派というか、うどんが好きなんですよ。そうなると、風邪を引いたわけでもなくても、冬場はうどんの出番が多くなるのです。鍋の〆ってご飯かうどんかってところあるじゃないですか。最近は中華麺もありますけどね。でも、そばってあんまりない。それで冬はほぼ鍋(手抜きではない、断じて。断じて)なので、うどんをいっぱい食べるわけです。子ども達も、冬場の『つるつる』はほぼうどんですからね。旦那に似てうどん大好きっこになりました。ママは孤独。いや、いまはうどんも好きですよ。


 ――え? 夏の話じゃなかったのかって?

 そうでしたそうでした。

 宇部家ではね、そんなこんなで素麺や冷や麦はほぼ出ません。ははーん、さてはうどんかな? そういう話だったもんな? って?


 残念! 夏の宇部家はラーメンサラダだ!!(東北でも北海道の心を忘れない)


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