第393話武人のような

色々思う所はあるが今はやるべき事をやろう。まずは精霊に会って今後について話し合うべきだ。


 保護するにしても、しないにしてもだ。


 出てこなければ良い物を。森の浅い所まで妖精が覗きにきている。どこまで行ってもこのタイプの妖精は無邪気で純粋だ。好奇心で平然と危険を侵す。


 森へ向かうと妖精は本能で分かるのだろう、俺の周りに集まってきた。それはもうゾロゾロと。



「悪い人間はやっつけたの?」


「守り手さん来てくれてありがとう」


「いい臭いがする」


「守り手さんご招待~」


 

 等々10以上の妖精が一斉に話しかけながら頭や肩に乗ってくる。こいつ等を見てると人懐っこすぎて絶滅しかけている鳥を思い出した。たしかカカポだったか? 飛べないぶんカカポの方が悲惨な気もするが。


「精霊の所に連れて行ってくれないか?」



「分かった」


「御案内~」


 とにかく姦しい。道中周囲を見ながら進むとたまに人の死骸とそれに絡む蔦や棘が見つかる。この森の防衛機構なのだろう。



 奥へ奥へひたすらに進むと巌いわおと表現するに相応しい男の姿が見える。あれが精霊なのだろう。イメージではあるが大地の精霊と言われればしっくりくる姿だ。



「良く来られた守護者よ、悪しき人の排除心より感謝する」



「感謝なら俺ではなくよくわからん女に言え。俺はあくまで依頼で命令で来ただけだ」



「であればその女人に感謝の意を伝えたい」



 真っ直ぐというかいかにも武人という見た目に言動だな。嫌いではない。


「伝えておこう。さて本題に入るが、保護は必要か? それなりに安全な地に案内できるが?」


「そうしたい所ではあるが我はこの地を動けぬ」


 土着神ならぬ土着精霊か?


「そうか、所で人間の目的をしっているか? それが分かれば行動を決めやすい」


「それなら簡単だ。3つある。木材、農地」


 木材に農地、開拓か。後はなんだ危険を侵し、冒険者を雇い入れてまでやる事業。


「最後に我の死骸だ」


「精霊の死骸?」


「我自体、奴等からすれば上等な素材なんであろうよ」



 精霊を売ってた事すらあったんだなんらおかしくは無い。人とはそういうものだ。となるとここで出きるの事はそうないな。



「申し訳ないがまた数日後来てもいいかな? その時までに何ができるか考えておく」


「十分助けてもらっている。現状でも十分感謝している。人の身で無理をしすぎるでない。相手は同族でもあるのだぞ?」


「人間なぞただのケダモノだ。他者から奪う事でしか繁栄できない」


「多かれ少なかれ生き物とはそういう物だ。あまり自分の種族を卑下するものじゃない。それは自傷に近い」


「忠告感謝する。また後日会おう」

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