第389話膝枕
命を対価に使おうが届かない。そんな存在が急に苦しみ出したらどうだろう? 蹲り、歯を食いしばり耐えている。俺は理解が出来なかった、心配したか? それは無い。チャンスと思ったか? こんな状況でも次元が違うのは今なら分かる。
今殺そうとした所で意味が無い、この感情はただただ理解が出来ない、その一言に尽きる。
立ち尽くし理解できないモノをただ棒立ちして見つめる。それから時間にして1分~2分だろうか?奴は俺の前に立ちこう言い放った。
「君に命令して良いんだよね? 私に従うんだよね?」
先ほどの状況と関係あるだろう。
「お前があの島に手を出さない約束を守ると誓うなら」
「誓うよ。じゃあ早速だけど口を開けて」
なんだ急にだが従う他無いその気になれば無理やりできるだろうしな。俺が口を開けると奴は自身の親指の先を噛み、その指を俺の口に突っ込んだ。
「血を飲んで」
その声に何か精神的なモノが溶かせれている気がする、気付けば既に血は飲み込んでいる。まずい、空間庫からナイフを取り出し、自身の太腿に突き立てる。直感がまずいと警鐘を鳴らしている。
「テェラの名において」
そこで俺の意識は落ちた。
目を覚ますと最悪な状況目と鼻の先ほどの距離に奴の顔。後頭部には柔らか感触、状況を理解すると同時に頭を横へと抜いて転がるように距離を取り飛び上がる。
「そこまで嫌悪しなくても良いのに。でもなんだか警戒する猫みたいで可愛い」
「最低な寝起きをありがとうよ。それで? 何をした?」
体中の違和感が凄い。具体的には初めてレベルが上がった時に酷似している。違いがあるなら振れ幅の桁が違うくらいだ。ステータスを最大まで弄るより今のほうが動ける。
「私ね、本来お願いなんて出来ないの。君は特別に少しだけ出来た。だからお願いがしやすいようになって貰ったんだ」
「契約か」
「そんな認識でもいいよ。それでは早速命令です。私の真名は私と君だけのモノ名を他に伝える事を禁じます」
「了解した」
どちらにしろ逆らえまい。
「次はお願いです。君の行動からも外れないから聞いてくれると嬉しいです」
「聞くだけ聞こう。選択権があるなら聞いてから判断したい」
「遥か南の地に人族による開拓、資源調達で精霊の森が深刻なダメージを受けているの。精霊はその地から動けないほど根付いて保護は不可能です。なので人間を止めてください。手段は問いません」
確かに俺がその状態を知れば命令なんてしなくても行くだろう。こいつが何故こんな事を頼むのか?命令じゃないのかは理解できないが、この際どうでも良い。これは俺がやると決めた道だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます