第328話商人としての行動
この世界に来て一番長い平穏を過ごしてきた訳ではあるが、今現在魔族の皆さんに囲まれている。
これも全てあのアホな神のせいである。
「移動も大変だし、その転移符を設置してきてあげるよ」
親切だなぁとか頭にお花畑でも咲いてんのかと過去の自分に言ってやりたい。
周囲を見るにそれなりの身分の者が住まう場所のエントランスのような所で、当然ながら警備がいる。そして俺は誰がどう見ても不審者、おまけに戦争してる相手の種族。囲まれて当然だわな、今にも攻撃されそう。
「貴様、ここが何処かわかって来ているのか?」
一番年配に見える兵士が俺に問う。
「わからん。だが、商売できそうな場所ではないな。どうやら来る所を間違えたらしい。そこの兵士さん商売するに良い場所をしらんか?」
最早ヤケクソである。次攻撃の素振りを見せたら切り伏せるつもりで動こう。
「得体のしれぬ無礼者に教える道理があると思うか?」
全く以って正論である。しかし、何故仕掛けてこない。腰抜けではない、いつでもいける、周囲の人の構えはそう雄弁に語っている。
ステータスを見るもまともにやり合えば俺より上の者ばかりだ、正直少し凹む。相手はただただ、囲み、逃がさず、こちらが無理を通せば切り捨てる。そんな動きだ。
数分は過ぎただろうか?このままでは敵が増えるだけ、皆殺しにしてでも離脱するしかあるまいとおもったその時、でかい笑え声と共に大男が階段から降りてきた。
「ハハハ愉快、愉快。爺、その男か?よりにもよってここに忍び込んだ馬鹿と言うのは」
「この男でございます」
筋肉の塊に覇気が溢れるような面立ち、見るからに強者感が凄い。鑑定先生も弾かれる始末。
「覗き見とは感心しないなぁ~まぁ良い。して、貴様何をしにここへ来た?」
顔こそ笑ってはいるが圧が凄い。ふざけた事を抜かせば殺すといわんばかりだ。だから俺は包み隠さず目的言う事にした。
「商売さ、商人が金がありそうな所に行って物を売りつける。当然の帰結ではないかな?」
ここは引いて下に出てはいけない。多分俺は今試されている、この男は遊ぶに足るか見ている。直感だから正解かはわからんが多分そうだ。
「ほぅ、商人とな。それで?貴様は何を商う?」
「貴方方が欲しい物は食料と聞いて遥か海の向こうから来た」
「何を欲す?」
「この周囲の島国は全て鉱物が豊富と聞く、目当てはそれだ」
「客人を部屋に案内しろ。それから爺よ、金をあるだけ持って来い」
そして俺の方をにやりと見て「遥か海の向こうから来たほどだこの屋敷の金で足りるとは思わんが出来るだけ売ってはくれんか?」
信じて無いわけね。良いだろう、売りつけに来たのは本当だ。度肝を抜いてやる。
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