第324話楽園での提案
体が軽い。面倒が一つ消えたのはでかい。説得するのには苦労した物だ。ルイにはダイスが死体があった所で信じるだけの説得力が薄い、更には裏切るような真似は許容できないと断られていたのだが、ギルド等の面倒をどうにかしたいと言うと、条件付で協力を取り付けた。
一つは王との縁は切らない事。これは、秘密裏に接触してしまえば問題ないし、念話符で向こうに説明してしまえば早い。
エルフの里の吟遊詩人も同様に説明が必要だ。当然スロートやミルへの説明も必要。
一番ネックであった、俺が死ぬ事の信憑性の薄さはルイと言う規格外の化物に殺される一部始終をそれなりの立場の者の前で見せる事でクリアした。サクライの地雷娘はある意味役に立ったとも言える。一つ懸念があるなら俺の大根役者ぶりだろう。
これでようやく時間ができる。歌や修練はこの地の防衛機構完成の為には必要。まぁ猿真似に過ぎないんだがな。
猿真似ついでにもう一つだけ先達の真似をさせて貰うとしよう。
それは資材の死蔵。かの先達が飛んだ世界はまだ青銅が主流で鉄に届いていなかった。だからこそ鉄を根こそぎ集めた後の未来に鉄と金の価値が大差なくなる程に。
当然石油やレアメタル等も回収している。代わりに放出したのは魔術産の宝石や硝子、衣服や食器銅に銀だ。
勿論これだけやっても先延ばしに過ぎないだろう。だが、それで良いのだ。所詮は自己満足。最善を尽くす以上の事は出来ないのだから。
(まぁ怖い)
また面倒なのが来た。体は・・・動くな、どうやら時は止めてないらしい。
(豊穣の女神が何故この様な場所へ?賽の神からすれば許される行為では無いと思うが?)
(ええ、だから許可を取ればお咎めは無いわ。ただし貴方に何かしようものなら瞬時に消されますけど。それに近くに立ち寄っている訳ではありませんし)
(それで?何か用か?)
(ただの提案よ。貴方への報酬は同じだけど、受け取るのはいつでも良い、ただそれだけよ)
(話しが見えないな)
(自分の最善で足りない、そう思うんでしょう?)
(思考を読まれるのは正直気分が良くないのだが)
(神の1割程度は勝手に読むから、嫌なら対処する事ね。話の続きだけど、私としては貴方はこちら側の方が都合が良いの。逆に人側では都合が悪いわ。人側とは言いがたい立ち位置みたいだけど。そこで双方に都合が良い提案をするわ)
(聞こうか)
(物集めでも鍛錬でも好きにすれば良いわ。満足したら、私の元へ来て報酬を受け取る。そうすれば貴方は長い時を経た後に神、あるいは似たなにかになる)
(そんな者になりたいとは思わないのだが)
(ある程度方向性が指定できるとしても?)
(方向性?)
(例えば土着の神)
(成る程な)
(あくまで提案よ。前回の謝罪の意味もあるわ。当然保身の意味もね)
(前の二つは建前だろう。そのくらい読まなくてもわかる)
(提案はしたわ。その時に呼んでくだされば結構よ、ではその時までごきげんよう)
話したい事を言うだけ言いやがって。やはり好きになれそうにない。土着の神か・・・。
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