第296話巫女

 青い線を持つ者は一人残らず肉片に変えた。当然頭に王冠を載せた者も例外ではない。例の依頼の巫女だが道中の牢屋で見つけたが、覚えがある雰囲気の力を感じる結界の中にいたので一先ずスルーしてしまった。回収に行かなくては。




 ついでに奴隷も解放するか。牢に着いた俺を見た女性達は例外なく怯えていた。当然俺にだ。気持ちは分かる。歌いながら一切の慈悲も無く殺戮する姿は正気の人間の所業ではない。どう見てもサイコパスである。





 巫女は牢屋の中で結界にいるという、珍妙な状況だが、とりあえず無事のようだ。他の女性は暴行の跡がある。




 怯えられては色々面倒だ。どうするかと頭を悩ませていると。




「貴方が便利屋さん?」凜とした声が無音の牢獄に響く。便利屋?・・・成る程ね、確かに便利屋である。神々のと付くかもしれないが。



「貴女は巫女で良いのだな?」



「ええ、そうよ」



「なら話しが早い。そこの女達の先導を頼みたい。自業自得とは言え面倒極まりない」



「魔王を歌いながら敵を切り刻むとか正直ドン引きよ。意味があるのでしょうけどね」




「曲名を知っているという事はそういう事か。あの女神には追加料金を頂くとしよう」




 俺の中でこの巫女の警戒度が一気に上がる。だが、そんな事は知らんと言わんばかりに巫女は話しを進める。




「あの蛮族共はどうなったの?」




「線持ちに生き残りはいない」




「そう。で?これからどうするの?」




 少し悩み、それから自分の迂闊さと愚かさに気付き。その後に諦めの感情が自分を支配する。暴れるのも殺戮するのも最悪問題無い。問題は素顔で後先考えずやった事だ。


 やってしまった事は仕方ない。とりあえずこの被害者達をどうするかだ。




 ぞろぞろと安全な場所まで大移動。論外だ、守りきれない。



 ここで人生を送って貰う。鬼か俺は。



 普通に考えて応援を呼んで対処するが正解だよな。




「数日この国で被害者達をまとめて貰いたい。ある程度の物資は置いて行く。出来るか?」




「出来るけど、どうするつもりよ?貴方のプラン次第ね」




「お前の親父と兄に人員を出して貰う。それが一番確かな方法だろう?」



「それなら任せるわ」



 俺は牢を強引に切り裂いてその場を出た。


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